弁護士コラム

再婚したら養育費はどうなる?減額されるケースと打ち切られた場合の対処法

再婚したら養育費はどうなる?減額されるケースと打ち切られた場合の対処法
  • 公開日:2024年10月7日
  • 更新日:2024年10月07日

「再婚したら、子どもの養育費はどうなるんだろう?」

ご自身が再婚を考えている、または元配偶者が再婚したことを知ったなど、離婚後に事情が変わり、養育費の受取りや支払いについて不安や疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか?

結論から言うと、養育費の支払義務は、再婚をしても基本的になくなりません。
しかし、状況によっては養育費の減額・免除が認められる可能性があります。

そこでこのコラムでは、再婚による養育費への影響や、養育費が減額される可能性のあるケース、再婚後に養育費が支払われなくなった場合の対処法などを弁護士が詳しく解説していきます。
お子さまのためにも、再婚後の養育費について正しい知識を身につけましょう。

この記事を読んでわかること

  1. 再婚による養育費への影響
  2. 再婚して養育費が減額される可能性のあるケース
  3. 再婚後に養育費が支払われなくなった場合の対処法

再婚しても養育費はもらい続けることができる

未成熟子(経済的・社会的に自立していない子ども)をもつ親には、子どもが自立するまでの生活を保障する責任があります。
この責任は、離婚をしてもなくなることはありません。そして、この責任を果たすために法律上定められているのが、養育費の支払義務です。

養育費の支払義務は、父母のどちらか、またはお互いが再婚したことだけを理由になくなることはありません。
つまり、再婚しただけで「養育費がもらえなくなる」、「養育費を支払う必要がなくなる」わけではないということです。

【ケース別】再婚して養育費が減額・免除される可能性のあるパターン

再婚したことだけを理由に養育費を支払わなくてもよくなることはありませんが、状況によっては養育費の支払い免除・減額が認められるケースもあります。
以下で、ケース別に見ていきましょう。

権利者(受け取る側)の再婚相手が子どもと養子縁組をしたケース

権利者(養育費を受け取る側の親)が再婚をし、再婚相手が子どもと養子縁組をしたケースでは、養育費が免除・減額されることがあります。

これは、「親権を有する、または子どもと一緒に生活する親に第一次の扶養義務がある」と考えられているためです。

養子縁組をすると、再婚相手と子どもは法律上の親子関係となります。つまり、親権者である再婚相手に、「子どもが自立するまでの生活を保障する責任」が生じるのです。

そのため、再婚相手に資力がなく子どもの扶養ができないなどの事情があるケースを除き、実親の養育費の支払いが免除・減額される可能性があります。

また、養子縁組をしない場合でも子どもを再婚相手の扶養に入れるケースなどでは、状況によって養育費が減額される可能性もあるでしょう。

義務者(支払う側)が再婚相手の連れ子と養子縁組をしたケース

義務者(養育費を支払う側の親)が再婚をし、再婚相手の連れ子と養子縁組をしたケースでは、養育費が減額されることがあります。

養子縁組をすると、再婚相手の連れ子と法律上の親子関係となるため、第一次の扶養義務が生じます。そうなると経済的な負担が増えるため、養育費が減額される可能性があるでしょう。

なお、養子縁組をしない場合には、特別な事情がない限り養育費をこれまでどおり支払う必要があります。

義務者(支払う側)と再婚相手との間に子どもが生まれたケース

義務者(養育費を支払う側の親)が再婚をし、再婚相手との間に子どもが生まれたケースでは、子どもの人数に応じて養育費が減額されることがあります。

これは、「実子には平等に養育費を受け取る権利がある」と考えられているためです。
義務者に実子が増えることで、これまで通り養育費を支払い続けると、新たに生まれた子どもの扶養に支障が出るおそれもあります。そのため、養育費が減額される可能性があるといえるでしょう。

義務者(支払う側)の再婚相手に収入がないケース

義務者(養育費を支払う側の親)の再婚相手に収入がない場合には、再婚相手との間に子どもがいないケースでも、養育費が減額される可能性があります。

ただし、稼働能力などによって収入を認めるのが相当な場合には収入があるものとして扱われることになるため、再婚相手に収入がないからといって必ずしも減額が認められるわけではありません。

再婚により養育費を減額・免除をする流れ

再婚による状況の変化に応じ、養育費の減額・免除が必要な場合は、以下の流れで手続を行います。

養育費を算定し直す

まずは、具体的な事情を踏まえ改めて養育費を算定します。

養育費の算定には、裁判所が公表している養育費算定表を用いるのが一般的です。
ただし再婚後の場合には、養子縁組した子どもの人数など具体的な事情を考慮して計算する必要があり、算定表をそのまま使用することはできません。
そのため、養育費算定表のもとの考えである標準算定方式により、計算することになります。

しかし、標準算定方式による計算は、とても複雑です。適切に養育費を算定するためには、弁護士などに相談することも検討すべきでしょう。

なお、義務者が再婚したケースであれば、以下のツールでもおおよその金額を計算できます。

当事者間で話し合う

養育費を算定し直したら、元配偶者と養育費の減額について話し合いましょう。
無用なトラブルを避けるためにも、冷静に現在の状況を伝えて話し合うことが大切です。

話合いで合意できた場合は、新たに取り決めた内容を記載した合意書を作成しておくことをおすすめします。

養育費減額調停を申し立てる

話合いがまとまらない場合や、話合いをすること自体が難しい場合は、家庭裁判所へ養育費減額調停を申し立てましょう。

調停は、調停委員会を介して養育費の減額について話し合う手続です。
あくまでも、話合いで合意を目指す手続であるため、合意ができなければ調停は不成立となり、審判に移行します。
審判では、お互いの主張や資料をもとに、裁判官が養育費を減額すべきかどうか最終的な判断を下します。

再婚後の養育費について覚えておくべきポイント

再婚後の養育費の支払いをめぐってトラブルにならないよう、以下の3つのポイントも押さえておきましょう。

必ずしも養育費の減額が認められるわけではない

【ケース別】再婚して養育費が減額・免除される可能性のあるパターンに当てはまる場合でも、必ず養育費の減額・免除が認められるとは限りません

たとえば、義務者が再婚し、扶養すべき子どもが増えたケースでも、十分な収入や資産があれば、これまでどおり養育費を支払わなければならない可能性があります。

また、権利者が再婚したケースでも、再婚相手が専業主婦(主夫)などで無職・無収入であれば、これまでどおり養育費を受け取れる可能性があるでしょう。

養育費の支払いを一方的に打ち切ることはできない

養育費について取決めをしている場合、再婚などを理由に養育費の支払いを一方的に打ち切ることはできません。

一方的に養育費が打ち切られた場合、権利者は支払われなかった分の養育費を請求できます。

離婚の際、調停・審判・判決などで養育費の取決めをしていた場合には、裁判所から養育費を支払うよう「履行勧告」・「履行命令」を発してもらうことや、強制執行の手続をとることも可能です。

支払済の養育費の返還が認められる可能性は低い

たとえば、権利者が再婚したことを義務者が知らないまま、養育費を支払い続けていたというケースもあるかもしれません。

しかしそのような場合でも、支払済の養育費の返還が認められる可能性は低いでしょう。
これは、一度取り決めた養育費の支払条件は、新たに減額・免除などの合意をするまで有効だからです。

また、法律上、元配偶者に再婚したことを伝える義務はありません。
もちろん離婚時に書面で再婚を通知するよう取り決めていた場合には、再婚したことを伝えるべきですが、一度支払った養育費の返還が認められる可能性は低いといえるでしょう。

再婚後に養育費が支払われなくなった場合は弁護士に相談を

このように、再婚したからといって養育費を支払う必要がなくなるわけではありません。
再婚をきっかけに養育費が支払われなくなった場合には、元配偶者に対してきちんと養育費を請求することをおすすめします。

ただし、ご自身で養育費を請求すると、なかなか支払いに応じてもらえずにトラブルが長期化するおそれもあります。
そのため、養育費の請求は弁護士に依頼するのがおすすめです。

弁護士であれば、法的知識やこれまでの経験・ノウハウを駆使してあなたの代わりに元配偶者と交渉できます。
調停・裁判が必要なケースもスムーズに対応できるため、安心です。

お子さまを育てるために必要な養育費を、より確実に支払ってもらうためにも、ぜひ弁護士への相談をご検討ください。

まとめ

再婚しても養育費の支払義務はなくなりませんが、子どもの養子縁組をした場合や、再婚相手との間に子どもができた場合など、状況によっては養育費が減額・免除される可能性があります。

ただし、養育費の減額・免除をするには、お互いの合意が必要です。
一方的に養育費を打ち切られてしまった場合は、きちんと未払い分の養育費を請求しましょう。

アディーレ法律事務所では、離婚後に支払われなくなった養育費の請求に関するご相談を無料で承っております。お困りのことがあれば、一人で悩まずお気軽にご相談ください。

監修者情報

林 頼信

弁護士

林 頼信

はやし よりのぶ

資格
弁護士
所属
東京弁護士会
出身大学
慶應義塾大学法学部

どのようなことに関しても,最初の一歩を踏み出すには,すこし勇気が要ります。それが法律問題であれば,なおさらです。また,法律事務所や弁護士というと,何となく近寄りがたいと感じる方も少なくないと思います。私も,弁護士になる前はそうでした。しかし,法律事務所とかかわりをもつこと,弁護士に相談することに対して,身構える必要はまったくありません。緊張や遠慮もなさらないでくださいね。「こんなことを聞いたら恥ずかしいんじゃないか」などと心配することもありません。等身大のご自分のままで大丈夫です。私も気取らずに,皆さまの問題の解決に向けて,精一杯取り組みます。

離婚、浮気・不倫の慰謝料に
関するご相談はアディーレへ!
離婚、浮気・不倫の慰謝料に関するご相談はアディーレへ!
  • 費用倒れの不安を解消!「損はさせない保証」あり
  • ご相談・ご依頼は、安心の全国対応。全国65拠点以上。(※1)