浮気・不倫の慰謝料請求は自分でできる?弁護士なしで進める流れと注意点

夫や妻の不倫が発覚したものの、「大ごとにしたくない」「費用をかけたくない」などの理由から、「弁護士へ依頼せず自分で慰謝料請求したい」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
浮気・不倫の慰謝料請求は、ご自身で行うことも可能です。
ただし、ご自身で対応するリスクや必要な準備などをきちんと理解しておかないと、失敗してしまうおそれもあります。
そこでこのコラムでは、ご自身で浮気・不倫の慰謝料を請求するための準備や流れに加え、ご自身で対応するリスク、失敗しないためのポイントを解説します。
目次
この記事を読んでわかること
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自分で浮気・不倫の慰謝料を請求するための準備
何の準備もせずに浮気・不倫の慰謝料を請求しても、失敗に終わってしまうおそれがあります。
そのため、以下の準備をしておきましょう。
- 慰謝料を請求できるか確認する
- 不倫の証拠を集める
- 不倫相手の連絡先を入手する
- 不倫相手に伝えたいことをまとめる
それぞれ詳しく解説します。
慰謝料を請求できるか確認する
浮気・不倫の慰謝料は、無条件に請求できるものではありません。
そのため、まずは慰謝料を請求できる以下の条件に当てはまっているか確認しましょう。
<慰謝料請求できる主な条件>
- 不貞行為によって「権利の侵害」を受けた
- 不倫相手に「故意または過失」があった
- 「時効」が成立していない
たとえば肉体関係がなく「不貞行為」が認められない場合、基本的には慰謝料を請求できないため注意が必要です。
不倫の証拠を集める
たとえ不倫が事実であっても、相手が素直に認めるとは限りません。「証拠がないのに言いがかりだ!」と反論され、慰謝料を支払ってもらえないこともあります。
そのため、肉体関係があったことが客観的にわかる証拠を集めておきましょう。たとえば、以下のようなものが証拠になり得ます。
- 性交渉に及んだことがわかるメッセージのやり取り
- ラブホテルや自宅への出入りをしている写真・動画
- 配偶者や不倫相手が不倫をはっきり認めた録音 など
このほか、クレジットカード利用明細やカーナビの検索履歴などを証拠として利用できる場合もあります。
不倫相手の連絡先を入手する
「慰謝料を支払ってもらいたい」と考えていても、不倫相手がどこの誰かわからなければ、連絡を取ることができません。そのため、不倫相手の氏名・住所(または勤務先)を特定し、連絡先を入手しておきましょう。
自分で不倫相手の情報を調べる場合、配偶者から聞き出すほか、SNSをチェックするなどの方法が考えられます。ただし、やり方によってはあなたが罪に問われてしまうおそれもあるため注意が必要です。
自分で特定するのが難しければ、興信所などの調査会社や弁護士などに相談してみるとよいでしょう。
不倫相手に伝えたいことをまとめる
いざ不倫相手に連絡するとなると、感情的になってしまいうまく話せないこともあるかもしれません。
そのため、あらかじめ伝えたいことを簡潔にまとめておくとよいでしょう。たとえば、以下のような内容が考えられます。
- 不倫をしている証拠があること
- 不倫関係をやめてほしいこと
- 慰謝料を支払ってほしいこと など
もし、口頭でうまく伝えられる自信がない場合には、メールや書面などで送ることも検討しましょう。
自分で浮気・不倫の慰謝料を請求する流れ
準備が整ったら、以下の流れで慰謝料を請求します。
以下で詳しく見ていきましょう。
①慰謝料を支払ってほしいと伝える
まずは、口頭(電話など)または書面で不倫相手に「慰謝料を支払ってほしい」旨を伝え、話合いの場を設けます。
書面を送る際は「内容証明郵便」を利用すれば慰謝料請求したことを証明することが可能です。費用はかかってしまいますが、書面の内容や書面を相手が受け取ったことなどを証明できるため、あとで「慰謝料なんて請求されていない」と反論されることも防げます。
なお、「慰謝料を支払ってほしい」と伝える際に、不倫相手の自宅や勤務先に突然押しかけたり、脅迫と捉えられかねない言動を取ったりしてはいけません。これらの行為は、さらなるトラブルの原因になってしまいます。
②金額や支払方法について交渉する
相手が話合いに応じた場合には、具体的な慰謝料の金額や支払方法、支払期日などについて交渉します。
請求する慰謝料の金額は自由に決められますが、1,000万円などとあまりに高すぎる金額を提示すると、話合いが進まなくなるおそれもあるため注意が必要です。浮気・不倫の慰謝料の裁判上の相場を参考に、現実的な金額を検討したほうがよいでしょう。
離婚しない場合 | およそ数十万円~100万円 |
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離婚する場合 | およそ100万円~300万円 |
また、慰謝料の支払いに関する内容のほか、不倫の再発防止のために「不倫関係を解消すること」「今後は一切連絡を取らないこと」なども約束しておくことが大切です。
③合意できた場合は示談書を作成する
話合いがまとまった場合には、あとになって認識の違いによるトラブルが起きないよう、合意内容をまとめた「示談書」を作成しましょう。示談書には、最低限、以下の内容をはっきり書いておく必要があります。
- 不倫があったこと
- 慰謝料の金額
- 支払期限
- 支払方法(振込先の口座番号など)
- 自分と相手の氏名・捺印
なお示談書は、公正証書として作成しておくことも可能です。公正証書とは、公証役場で法律に従って作成する公文書のことをいいます。
執行受諾文言付の公正証書を作成しておけば、たとえば慰謝料を分割払いとしたときに約束どおり慰謝料が支払われない場合も、スムーズに差押えの手続をとれるため安心です。
④合意できない場合は裁判を提起する
不倫相手が話合いに応じない場合や、話合いがまとまらない場合には、裁判を提起することになります。
まずは「訴状」を作成し、不貞行為の証拠とともに裁判所へ提出ししましょう。裁判では、あなたと相手方が主張と反論を繰り返し、裁判所に客観的な判断をしてもらうことになります。
なお、いきなり裁判を起こすこともできますが、話合いの機会を設けずにいきなり裁判を起こすのはおすすめできません。
裁判には想像以上の時間や労力がかかることもあるため、まずは交渉による解決を目指したほうがよいでしょう。
裁判による浮気・不倫の慰謝料請求について詳しくは、以下のコラムも参考にしてみてください。
自分で浮気・不倫の慰謝料を請求するメリット
ご自身で浮気・不倫の慰謝料を請求するメリットには、「弁護士費用がかからない」ことが挙げられます。
また、不倫相手が素直に支払いに応じてくれるのであれば、弁護士を介して交渉するよりも早く解決できる可能性もあるでしょう。
なお、「自分の気持ちを直接相手に伝えられる」という点にメリットがあると感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、伝え方次第ではトラブルに発展するケースもあるため、その点は注意が必要です。
自分で浮気・不倫の慰謝料を請求するリスク
一方で、ご自身で浮気・不倫の慰謝料を請求することには以下のようなリスクもあるため注意が必要です。
請求を無視・拒否されるおそれがある
あなたからの慰謝料請求に、必ずしも不倫相手が誠実に対応してくれるとは限りません。
場合によっては、請求を無視されてしまい話合いすらできないことも考えられます。
話合いができたとしても、「不倫なんてしていない」などといって慰謝料の支払いを拒否されてしまうかもしれません。
不利な条件で合意してしまうおそれがある
適切な慰謝料を支払ってもらうには、状況に応じた判断力や交渉力が必要です。
しかし、ご自身で金額などを適切に判断し、不倫相手と上手に交渉するのは簡単なことではありません。
なかには、相手に言いくるめられて不利な条件で合意してしまうケースもあります。
特に、不倫相手が弁護士を立てた場合、交渉のプロである弁護士相手に主張や反論をしなければなりません。
そうなれば、あなたにとって有利な条件で合意することがより難しくなってしまうでしょう。
裁判に発展し問題が長引くおそれがある
ご自身で慰謝料を請求しようとすると、本来は交渉で解決できていたはずの問題がこじれ、解決まで長引いてしまうおそれもあるため注意しましょう。
不倫相手が交渉に応じてくれない場合や交渉で合意できない場合は、裁判を提起せざるを得なくなります。
裁判は、半年~1年程度かかるケースも少なくありません。そうなれば、精神的な負担も大きくなってしまいます。
損害賠償を請求されるおそれがある
慰謝料を請求するなかで不適切な発言や行動をしてしまうと、反対に不倫相手から「脅迫・恐喝された」「プライバシーを侵害された」などといわれてしまいかねません。
そうなれば、場合によっては損害賠償を請求されたり、処罰を受けたりするおそれもあるため注意が必要です。
解決後のトラブルに発展するおそれがある
なかには、慰謝料の支払いについて合意したにもかかわらず、あとから「そんな約束していない」「無理やり合意させられた」などと問題を蒸し返され、トラブルに発展するケースもあります。
このような解決後のトラブルを防ぐためには、示談書を作成しておくことが効果的です。
しかし、適切な示談書を作成できていなければトラブル防止にはならないため、注意しましょう。
浮気・不倫の慰謝料請求で失敗しないためには?
浮気・不倫の慰謝料請求で失敗しないために、以下のポイントを押さえておきましょう。
感情的にならず冷静に対応する
ご自身で不倫相手と交渉しようとすると、どうしても感情的になりがちです。
夫婦関係を壊された怒りや悔しさ、悲しみなどから相手に感情をぶつけたくなってしまうのは、仕方のないことでしょう。
しかし、感情的になってしまうと話がこじれて問題が複雑化・長期化してしまいかねません。
そのため、できる限り冷静に淡々と対応するよう心がけましょう。
違法な言動や不当な要求をしない
さらなるトラブルに発展させないためにも、不倫相手に対して以下のような不適切な言動・要求をしないようにしましょう。
- 不倫相手の自宅や職場へ怒鳴り込む
- 不倫相手に退職や謝罪を強要する
- 不倫の事実を言いふらす など
話合いのときだけでなく、不倫相手を特定するときや、証拠を集めるときにも、不適切な方法で行わないよう注意が必要です。
やり方によっては、あなたが法的責任を問われてしまうおそれもあります。
弁護士に相談する
ご自身での慰謝料請求に少しでも不安があれば、弁護士へ相談するのがおすすめです。
弁護士であれば法的知識や経験をもとに交渉できるため、適切な慰謝料を支払ってもらえる可能性が高まります。あなたが不倫相手と直接やり取りする必要もなくなり、精神的な負担も大きく軽減できるでしょう。
なお、「まずは自分でやってみて、うまくいかなかったら弁護士に依頼する」という選択肢もあり得ます。
しかし、話がこじれて交渉が決裂してしまうと、弁護士に依頼しても結局、裁判による解決が必要になってしまう可能性が高いです。
そうなれば、裁判対応も含めた弁護士費用を支払わなければならなくなるため、交渉の段階で解決できるようできるだけ早い段階で弁護士に相談したほうがよいでしょう。
まとめ
ご自身で浮気・不倫の慰謝料を請求することには、「弁護士費用がかからない」というメリットがある一方で、請求を無視されたり、不利な条件で合意してしまったりするリスクもあります。
そのため、ご自身での対応に少しでも不安を感じる場合や、より確実に慰謝料を請求したいとお考えの場合は、まずは弁護士に相談してみるのがおすすめです。
アディーレ法律事務所では、浮気・不倫の慰謝料に関するご相談は何度でも無料で承っております。
「相談したら必ず依頼しなければいけない」ということはありませんので、まずは一度、お気軽にご相談ください。
\専門スタッフが丁寧に対応します!/
監修者情報

- 資格
- 弁護士
- 所属
- 第一東京弁護士会
- 出身大学
- 法政大学法学部、学習院大学法科大学院
私が弁護士を志したきっかけは、日常生活の中で時々、法的な問題に直面することがあったことです。法律というものは難解なものであると思われている側面が強いと思います。私も勉強するまでは、ちょっと近づきがたいものだと思っていました。しかし、弁護士となったからには、依頼者の方が何に悩んでいて何を求めているのかをしっかりと共有し、少しでも分かりやすく法的な問題点をご説明し、今後どのように問題解決に向けていくことが出来るのかを一緒に考えていきたいと思っております。