不倫の示談書は自分で作成できる?効力や注意点、弁護士に依頼するメリット

不倫相手が「慰謝料を支払う」と言っても、口約束だけでは約束どおり支払ってくれるかわかりません。
そこで、合意した慰謝料の金額や支払方法をまとめた「示談書」を作成しておくことが大切です。
このコラムでは、示談書は自分でも作成できる?という疑問にお答えするとともに、ご自身で作成した示談書の効力や作成の流れ、注意点などを解説します。
弁護士に依頼するメリットもご紹介しておりますので、参考にしてみてください。
目次
この記事を読んでわかること
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不倫の示談書は自分で作成できる?
不倫の示談書は、ご自身で作成することも可能です。
のちのトラブルを防ぐためにも、不倫相手が慰謝料を支払うことに合意したら、示談書を作成しておきましょう。

自分で作成した示談書に効力はある?
法的に有効な内容である限り、ご自身で作成した示談書であっても契約書としての効力をもつため、サインをした人には内容を守る義務が生じます。
また、まったく同じ内容であれば、ご自身で作成した示談書と弁護士などの専門家が作成した示談書に効力の違いはありません。
示談書に決まった書式はある?
示談書には法律上の決まった書式はありません。
そのため、パソコンなどで作成するほか、手書きで作成することもできます。
ただし、手書きの場合には消えやすい鉛筆などではなく、消えない油性のボールペンなどを使用しましょう。
用紙サイズも特に決まりはありませんが、A4の用紙で作成することが多いです。
不倫の示談書を自分で作成する流れ
不倫の示談書は、大まかに以下の流れで作成します。
以下で詳しく見ていきましょう。
①不倫相手と交渉する
まずは、不倫相手に対し慰謝料を支払ってほしいと伝えます。
不倫相手が不貞行為を認め、慰謝料を支払うことに合意した場合、具体的な金額や支払方法の交渉を行いましょう。
なお、不倫相手が話合いに応じない場合や、不貞行為を認めない場合などには、弁護士への相談や裁判での解決を検討する必要があります。
②示談書の案を作成する
慰謝料の金額や支払方法、その他の約束事について合意ができたら、示談書の案を作成しましょう。
不倫慰謝料に関する示談書には、主に以下の項目を記載します。
- 不貞行為があったこと
- 慰謝料の金額・支払方法など
- 求償権の放棄
- 誓約事項
- 違反したときのペナルティ
- 清算条項
詳しい書き方や示談書のサンプルは、以下のページでご紹介していますので参考にしてみてください。
③示談書を確認し署名・捺印する
不倫相手と示談書の内容を確認し、必要に応じて修正を行います。
最終的に問題がなければ、示談の成立日を記入のうえ当事者の双方が署名・捺印をしましょう。
こうすることで示談書の内容を双方が理解し合意したこととなり、契約書としての効力が発生します。
示談書は、同じ内容のものを人数分作成し一部ずつ保管することになりますが、署名・捺印は印刷せずに自筆しましょう。
不倫の示談書を自分で作成する際の注意点
不倫の示談書を自分で作成する際には、以下の点に注意しましょう。
示談書へのサインを強要しない
不倫相手をだましたり、脅迫・暴行したりして示談書の内容に合意させ、無理やりサインさせることは絶対にしてはいけません。
署名・捺印のある示談書は原則として法的に有効ですが、脅迫・暴行などによりサインを強要した場合には無効になるおそれがあるためです。
不倫相手を許せない気持ちから、強気な態度で接してしまうこともあるかもしれませんが、冷静に対応しましょう。
公序良俗に反した内容を書かない
「不倫相手に責任をとってほしい」と思うあまり、不当な要求や行き過ぎたペナルティを定めるのはやめましょう。
たとえば以下のような内容を書いたとしても、公序良俗に反するとして無効になる可能性があります。
- 1,000万円などの高額な違約金
- 約束に違反したら退職するという記載
- 借金をして慰謝料を支払うという記載 など
このような法律上不当とされる内容や、相手の行動を過度に制限・強制するようなことは書いてはいけません。
作成を相手任せにしない
示談書の文章は、誰が作成しても構いません。
しかし、相手方に任せてしまうと、不倫相手に有利な内容になったり、希望する内容が含まれなかったりするおそれもあります。
主導権を握ったほうが要求(接触禁止や口外禁止など)を盛り込みやすくなるため、自ら進んで示談書を作成しましょう。
テンプレートやひな形をそのまま使わない
インターネット上では、示談書のテンプレートやひな形が公開されています。
ご自身で示談書を作成する際には、参考にするとよいでしょう。
ただし、実際にどのような条項や文言を入れるのが適切かは、個別の事情によって変わります。
必要な記載が漏れ、のちのトラブルに繋がるおそれもあるため、テンプレートやひな形をそのまま使うことはおすすめできません。
あくまで参考程度にとどめ、必要に応じて弁護士などにアドバイスをもらったほうがよいでしょう。
公正証書にする
示談書には、「言った・言わない」のトラブルを防ぎ、約束を守る義務を生じさせる効力がありますが、強制的に慰謝料を支払わせる力はありません。
そのため、示談書を公正証書として作成しておくことをおすすめします。
公正証書は、公証役場の公証人が法律に基づいて作成する証明力が非常に高い文書です。
執行受諾文言(「強制執行を受けてもよい」という一文)を入れて公正証書を作成しておけば、約束どおり慰謝料が支払われない場合に、裁判をせずただちに相手の財産を差し押さえられます。
特に、高額な慰謝料を長期間の分割払いにするときなどには、公正証書として作成しておくと安心です。
不倫の示談書の作成は弁護士に依頼するべき?
一度示談書を作成してしまうと、原則として交渉のやり直しができません。また、あとから示談書の内容を変更することも難しくなります。
そのため、少しでも不安があれば弁護士などの専門家に作成を依頼するのがおすすめです。
弁護士に依頼するメリット
弁護士であれば、あなたの意向や具体的なご事情を伺ったうえで、不利な内容にならないよう気を配り、最適な不倫の示談書をオーダーメイドで作れます。
費用はかかってしまいますが、より確実に将来のトラブルに備えられるため安心です。
不倫相手とやり取りする手間も省けるため、精神的・時間的な負担も軽減できるでしょう。
また、弁護士はあなたの代わりに不倫相手と交渉することも可能です。
交渉段階から弁護士に依頼すれば、不倫相手が話合いに応じない場合などにも、交渉から示談書の作成まで一貫してサポートしてもらえます。
司法書士や行政書士との違い
示談書の作成だけを任せたい場合には、司法書士や行政書士に依頼することも可能です。
ただし、司法書士・行政書士は以下のように対応できる業務範囲が限られています。
業務 | 弁護士 | 司法書士 | 行政書士 |
---|---|---|---|
示談書など書類の代筆 | ○ | ○ | ○ |
慰謝料請求の法律相談 | ○ | △(※) | × |
代理人としての交渉 | ○ | △(※) | × |
代理人としての裁判手続の対応 | ○ | △(※) | × |
※法務大臣の認定を受けた司法書士で、請求する慰謝料が140万円以下の場合のみ可能。
慰謝料請求をする際は、「相手が交渉に応じてくれない」、「合意内容がまとまらない」など、スムーズに進まないこともあり得ます。
そのため、交渉から示談書の作成まで一貫して任せたい場合には、弁護士に相談するのがよいでしょう。
まとめ
不倫の慰謝料請求に関する示談書は、ご自身で作成することも可能です。
しかし、一度示談書を作成してしまうと、あとから内容を変更することはとても難しくなります。
また、原則として交渉のやり直しもできません。
そのため、状況に応じて弁護士などの専門家に相談することも検討してみるとよいでしょう。
弁護士であれば、交渉から示談書の作成まで一貫してサポートすることが可能です。
アディーレ法律事務所では、浮気・不倫の慰謝料請求に関するご相談を何度でも無料で承っております。お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。
\専門スタッフが丁寧に対応します!/
監修者情報

- 資格
- 弁護士
- 所属
- 第一東京弁護士会
- 出身大学
- 法政大学法学部、学習院大学法科大学院
私が弁護士を志したきっかけは、日常生活の中で時々、法的な問題に直面することがあったことです。法律というものは難解なものであると思われている側面が強いと思います。私も勉強するまでは、ちょっと近づきがたいものだと思っていました。しかし、弁護士となったからには、依頼者の方が何に悩んでいて何を求めているのかをしっかりと共有し、少しでも分かりやすく法的な問題点をご説明し、今後どのように問題解決に向けていくことが出来るのかを一緒に考えていきたいと思っております。