不倫が犯罪に繋がるケースがある?知っておくべきリスクをわかりやすく解説

不倫は、妻(夫)を裏切り傷つける行為です。そのため、なかには「不倫は犯罪じゃないの?」と疑問に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、不倫そのものは犯罪にはあたりません。
しかし、不倫に伴う具体的な行動によっては、犯罪に繋がるケースもあります。
この記事では、不倫の法的な位置づけや犯罪との違い、不倫によるペナルティ、思わぬ犯罪に発展してしまうケース、そして不倫された側が絶対にやってはいけないNG行動について、弁護士がわかりやすく解説します。
目次
この記事を読んでわかること
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不倫は「犯罪」にならないの?|不倫は犯罪ではなく不法行為
結論から言うと、不倫そのものは犯罪ではありません。そのため、不倫をしたからといって警察に逮捕されたり、前科がついたりすることはありません。
ただし、不倫(不貞行為)は民法上「違法」とされる『不法行為』にあたります。つまり、不倫をすると慰謝料請求などの重いペナルティの対象になるのです。
「犯罪行為」と「不法行為」の違い
犯罪行為とは、刑法などの法律により刑罰の対象と定められた行為です。
犯罪行為をすると、刑事上の処罰(刑罰)の対象となります。
戦前の日本では夫以外の男性と関係を持った妻とその男性が「姦通罪(かんつうざい)」として刑罰の対象とされてきましたが、1947年には廃止されています。
一方で不法行為は、故意または過失によって他人の権利や法律で守られた利益を侵害する行為です。不法行為は、犯罪と異なり刑事上の処罰対象とされるものではありません。ただし、不法行為によって他人に損害を与えた場合は、民事上の損害賠償責任が生じます。
つまり、不倫は「不法行為」にあたり、慰謝料請求(損害賠償請求)の対象となる可能性があるのです。
不法行為はお金(損害賠償金)で解決すべきこと(民事上の問題)と考えられており、不法行為が犯罪にあたらない限り警察は介入しないのが原則になります(民事不介入)。
| 項目 | 犯罪行為 | 不法行為 |
|---|---|---|
| 対象となる行為 | 刑法など法律で処罰対象とされている行為 | 他人の権利や利益を違法に侵害する行為 |
| 不倫の該当性 | 犯罪行為にはあたらない | 不法行為にあたる |
| 受けるペナルティ | 刑罰が科される(前科がつく) | 損害賠償(慰謝料)を支払う |
| 警察の介入 | 原則として介入する | 原則として介入しない(民事不介入) |
不倫はどうしていけないの?|不倫による3つのリスクとは
結婚した夫婦には、法律上「互いに協力し、平和な夫婦生活を維持する義務(民法第752条)」があります。そのなかには、配偶者以外の人と肉体関係を持たないという「貞操義務(ていそうぎむ)」も含まれています。
不倫は、この「平穏な夫婦生活を送る義務」に反する行為であるため、民法上の不法行為(違法行為)とみなされます。
そのため、不倫をしても刑罰が科せられたり、前科がついたりすることはありませんが、次のような重い代償を払うことになる可能性があります。
- 慰謝料請求の対象になる
- 法律上の離婚原因(法定離婚事由)になる
- 社会的な信用がなくなる
詳しく見ていきましょう。
慰謝料請求の対象となる
不倫をされた方(被害者)は、不倫相手や配偶者に慰謝料を請求できる可能性があります。
不倫の慰謝料の金額は、個別の事情によって異なりますが、相場は次のとおりです。
| 不倫の慰謝料の裁判上の相場 | |
|---|---|
| 別居や離婚をする場合 | およそ100万円~300万円 |
| 別居や離婚をしない場合 | およそ数十万円~100万円 |
法律上の離婚原因(法定離婚事由)となる
離婚は、原則として夫婦がお互いに合意しなければ成立しません。
ただし、不倫は法律上の離婚原因(法定離婚事由)にあたる可能性があります。法定離婚事由が認められる場合には、一方が「離婚したくない」と主張しても、裁判手続によって離婚が成立します。
つまり、たとえば不倫をした夫(妻)が拒否しても、不倫をされた妻(夫)に離婚の意思があれば、離婚が認められる可能性があるということです。
社会的な信用がなくなる
不倫をしたことが周囲に知られた場合などには、社会的な信用を失う可能性もあるでしょう。
職場に不倫が知られたとしても原則として解雇されることはありませんが、職場に居づらくなり退職せざるを得なくなるおそれもあるといえます。
不倫が「不法行為」と認められるには?
世間一般で使われる「不倫」や「浮気」という言葉には明確な定義がありません。
しかし、法律上ペナルティの対象(慰謝料請求の対象)となるのは、原則として配偶者以外の異性と自由な意思で肉体関係を持つ「不貞行為」があった場合です。
記事内では便宜上「不倫」という言葉を使用しますが、法律上の責任を問えるか(慰謝料請求の対象となるか)どうかは「不貞行為にあたるかどうか」が重要な基準となります。
不倫が「不貞行為」にあたる境界線|不貞行為にあたる場合とは
不倫が民法上の不法行為である「不貞行為」と認められるには、少なくとも次の3つの条件を満たす必要があります。
主に、肉体関係を伴う不倫や浮気は、法律上の「不貞行為」である可能性が高いといえるでしょう。一方で、2人きりで会った、食事をした、手をつないだというだけでは、「肉体関係がある」とはいえず、原則として「不貞行為」にはあたらず慰謝料請求の対象とならない可能性が高いでしょう。
ただし、肉体関係がなくても平穏な夫婦関係を大きく壊すような親密な交際をしていた場合、慰謝料請求の対象になる可能性があります。
また、一方が無理やり性交渉を迫り、それを拒否できない状況だったケースでは、「自由な意思に基づいている」とはいえないため、「不貞行為」にあたらないといえるでしょう。
不倫が「不貞行為」にあたっても慰謝料請求が認められない場合
不倫が「不貞行為」にあたっても、次のケースにあたる場合には例外的に慰謝料請求が認められない可能性があります。
- 夫婦関係が完全に破綻していた:不倫前から夫婦が長期間別居している場合など
- 既婚者だと知らなかった:不倫相手が既婚者だと気づけなかった場合
不倫が犯罪に繋がる可能性のあるケース
不倫そのものは犯罪にはあたりませんが、具体的な事情によっては「犯罪」に繋がる可能性があります。たとえば、次のようなケースです。
- 不倫相手が未成年のケース
- 不倫相手に肉体関係を強要したケース
- 不倫相手につきまとったケース
それぞれ詳しく見ていきましょう。
不倫相手が未成年のケース
不倫相手が18歳未満の場合は各都道府県の「青少年健全育成条例違反」、16歳未満の場合は「不同意性交等罪」という犯罪にあたるおそれがあります。
不倫相手が未成年(18歳未満)であることを知りながら肉体関係を持ったケースでは、各都道府県の青少年健全育成条例違反として刑事罰が科される可能性があります。
罰則は都道府県によってさまざまです。たとえば、東京都では未成年者と性交または性交類似行為におよんだ場合、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金を科される可能性があります(東京青少年の健全な育成に関する条例第18条の6、第24条の3)。
また、不倫相手が16歳未満でわいせつな行為や性交等などを行ったケースでは、同意があったかどうかにかかわらず、不同意わいせつ罪(刑法第176条)もしくは不同意性交等罪(刑法第177条)にあたる可能性があります(※)。
不同意わいせつ罪の罰則は6ヵ月以上10年以下の拘禁刑、不同意性交等罪の罰則は5年以上の有期拘禁刑です。
※被害者が16歳未満13歳以上の場合には、相手が被害者より5年以上前の日に生まれた者である必要があります。
不倫相手に肉体関係を強要したケース
不倫相手を「断れない状況」にし、わいせつな行為を行った場合には「不同意わいせつ罪」(刑法第176条)、性交等を行った場合には「不同意性交等罪」(刑法第177条)に問われる可能性があります。
暴行や脅迫を用いて断れない状況にすることはもちろんのこと、お酒で酔わせて断れない状況にする場合も含まれます。
不倫相手につきまとったケース
恋愛感情その他の好意の感情などを充足する目的で相手にしつこくつきまとう行為は、ストーカー規制法違反として1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金を科される可能性があります(同法第2条、第18条)。
たとえば不倫関係を解消したあと相手にしつこくつきまとった場合などです。
つきまとい行為にあたるのは、待ち伏せや押しかけだけではありません。次のような行為も「つきまとい等」行為とみなされ、それらの行為を反復して行う場合には、「ストーカー行為」として刑罰の対象となります。
- 監視していることを伝える行為
- しつこく交際を迫る行為
- 連続した架電・メールの送信
- GPS機器などで位置情報を取得する行為 など
不倫された側が注意すべき犯罪になる行為
不倫された側であっても、怒りに任せて次の行動をとると自身が犯罪者として逮捕・処罰されるリスクがあります。
- 配偶者の承諾なくアプリにログイン・ダウンロードする(不正アクセス禁止法違反など)
- 不倫の事実を第三者に言いふらす(名誉毀損罪)
- 自宅や職場へ怒鳴り込む(脅迫罪・強要罪など)
それぞれ詳しく見ていきましょう。
配偶者の承諾なくアプリにログイン・ダウンロードする
不倫の証拠を集めるために、配偶者の承諾なくアプリ(SNSなど)にログインしたり、アプリをダウンロードしたりする行為は罪に問われるおそれもあるため注意が必要です。
たとえば、配偶者のID・パスワードを使用してアプリ(SNSなど)に不正にログインした場合などには、不正アクセス禁止法違反として3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります(同法第3条、第12条)。
また、位置情報などを盗める不正アプリを勝手に配偶者のスマホにインストールした場合には、不正指令電磁的記録供用罪として3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処せられる可能性もあるでしょう(刑法第168条の2)。
不倫の事実を第三者に言いふらす
不倫の事実を不倫相手や配偶者の会社や友人・知人などに言いふらす行為や、SNSで名前を出して拡散する行為は、名誉毀損罪にあたるとして3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処せられるおそれがあります(刑法第230条)。
不倫相手の会社や友人・知人などに不倫をバラし、問題を大きくしたことで、今後慰謝料請求するとしても、話合いでの解決が難しくなる可能性もあるでしょう。
自宅や職場へ怒鳴り込む
不倫相手の自宅や職場に怒鳴り込んで不適切な発言をしたり、万が一暴力を振るってしまったりした場合、脅迫罪(刑法第222条)・恐喝罪(刑法第249条)などに問われるおそれがあります。
また、職場不倫の場合などには、不倫相手と配偶者が今後も接触する機会があるため、「退職してほしい」と思うかもしれません。しかし、退職を強要すると、場合によっては強要罪(刑法第223条)にあたると判断されるおそれもあるため注意しましょう。
不倫と犯罪に関するよくある質問(Q&A)
不倫トラブルに関して、被害者の方から弁護士によく寄せられる疑問にお答えします。ご自身の状況と照らし合わせて参考にしてください。
不倫に時効はありますか?
結論から言うと、不倫の慰謝料請求には時効があります。
原則として、「不倫の事実」と「不倫相手(加害者)」の両方を知ったときから「3年」で時効となります。また、事実を知らなかったとしても、不倫(不貞行為)があったときから「20年」が経過すると請求できなくなります。時効が迫っている場合は、内容証明郵便の送付などで進行を一時的に止めることができるため、早急に弁護士にご相談ください。
不倫相手の親に慰謝料を請求することはできますか?
原則として、不倫相手の親に慰謝料を請求することはできません。
不倫(不貞行為)はあくまで当事者個人の責任であり、不倫相手が成人している場合、親が慰謝料の支払義務を負うことはありません。例外として、不倫相手が未成年であり、親の監督義務違反が認められるような極めて特殊なケースを除き、親への請求は法的に認められないでしょう。
不倫相手に借金をさせて慰謝料を支払わせることはできますか?
「慰謝料を支払うために借金しろ」「親に借りてこい」などと強要することはできません。無理やり借金をさせようと脅せば、あなたが「強要罪」に問われる危険があります。
相手に一括で支払うお金がない場合は、現実的な金額で「分割払い」に合意させることが合法的な解決策です。その際、支払いが滞った場合すぐに相手の給与や財産を差し押さえられるよう、必ず「執行認諾文言付きの公正証書」を作成しておきましょう。
まとめ
不倫自体は犯罪ではないため、刑事上の罰が科されることはありません。ただし、具体的な行動によっては犯罪に繋がるおそれもあります。
また、不貞行為が認められれば、不倫された方は慰謝料を請求することが可能です。不倫をやめるよう約束させることができれば、再発防止にも繋がるでしょう。
慰謝料請求はご自身で行うこともできますが、弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士に相談すれば、状況に合わせて証拠集めや今後の対応について具体的なアドバイスをしてもらえます。交渉や書面の作成なども一貫してサポートしてもらえるため、安心です。
不倫は犯罪ではありませんが、弁護士を通して慰謝料を請求することで、不倫相手と配偶者にことの重大さを気付かせることができるでしょう。
不倫の慰謝料を請求するなら、弁護士に相談するのがおすすめです。
アディーレ法律事務所では、不倫の慰謝料請求に関するご相談を何度でも無料で承っております。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
\専門スタッフが丁寧に対応します!/
監修者情報

- 資格
- 弁護士
- 所属
- 第一東京弁護士会
- 出身大学
- 法政大学法学部、学習院大学法科大学院
私が弁護士を志したきっかけは、日常生活の中で時々、法的な問題に直面することがあったことです。法律というものは難解なものであると思われている側面が強いと思います。私も勉強するまでは、ちょっと近づきがたいものだと思っていました。しかし、弁護士となったからには、依頼者の方が何に悩んでいて何を求めているのかをしっかりと共有し、少しでも分かりやすく法的な問題点をご説明し、今後どのように問題解決に向けていくことが出来るのかを一緒に考えていきたいと思っております。




