弁護士コラム

【2026年法改正対応】養育費の未払いは回収可能!5つの対処法を弁護士が解説

【2026年法改正対応】養育費の未払いは回収可能!5つの対処法を弁護士が解説
  • 公開日:2023年06月12日
  • 更新日:2026年06月09日

離婚するとき養育費についてきちんと取り決めたのに、約束どおりに支払われない…
そのような状況で、「相手方と関わりたくないから請求をためらっている」、「どうやって支払ってもらえばいいかわからない」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

なかには今までに何度も養育費が未払いとなったことがあり、「未払いが再発しないようにしたい」という方もいらっしゃるかもしれません。

そこでこのコラムでは、養育費を請求する方法や未払いの再発を防ぐ方法、養育費の未払いを放置するデメリット、そして2026年の法改正による最新情報を解説します。

あなた自身だけでなくお子さまのためにも、養育費をきちんと支払ってもらうにはどうすればいいか、理解を深めていきましょう。

この記事を読んでわかること

  1. 養育費が未払いになった際に取るべき「5つの回収手順」
  2. 相手と連絡が取れない・職場が不明な場合の「財産・勤務先の調査方法」
  3. 未払いの養育費を放置するリスクと「時効」のルール
  4. 【2026年最新】取り決めをしていなくても請求できる「法定養育費」の概要
  5. 「相手の親に請求できる?」「自己破産されたら?」などよくある疑問の答え

養育費を受け取れている人の割合は?母子・父子家庭の現状データ

養育費は、生活費・医療費・学費など子どもを育てるのに必要なお金であり、実質的に子どもの権利です。

しかし、厚生労働省の「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、現在も養育費を受けている母子家庭は28.1%、父子家庭は8.7%にとどまっています。

さらに、以前は養育費を受け取っていたのに、現在は養育費を受け取っていない母子家庭は14.2%、父子家庭は4.8%となっており、養育費が途中で未払いとなるケースもあるようです。

非常に多くの方が養育費の未払いに直面していますが、泣き寝入りする必要はありません。これから紹介する対処法を行うことで、未払いの養育費は回収できる可能性があります。

養育費が未払いになったらどうなる?放置するデメリット

養育費の支払いは、未成熟子をもつ親が負う法律上の義務とされています。この義務は、離婚をしてもなくなりません。

そのため、養育費は「親として当然支払うべき費用」としてきちんと請求しましょう。

養育費の未払いが起きたのが初めてであれば、「今までは支払ってくれていたから、そのうち支払ってもらえるだろう」と考える方もいらっしゃるでしょう。

しかし、請求しないままでいると、相手方が「何も言われないから支払わなくてもいい」と考えて今後も養育費を支払ってもらえなくなるおそれがあります。

未払いの養育費を回収する5つの対処法

未払いの養育費を支払ってもらうには、相手方に直接連絡して請求する方法と、裁判所を利用して請求する方法があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

相手に直接連絡する

まずは電話やメール、LINEなどで相手方に直接連絡して支払ってもらうよう催促してみましょう。単なる支払い忘れであれば、すぐに振り込んでもらえる可能性があります。

未払いが何ヵ月も続いている場合や、電話やメールでの催促を無視される場合には、書面での催促も検討しましょう。

配達証明をつけた内容証明郵便を利用すれば、催促をした事実を証明できるため、相手は「養育費の催促なんてされていない」という言い逃れができなくなります。

家庭裁判所の養育費請求調停を申し立てる

相手に連絡しても養育費を支払ってもらえない場合や、養育費の取決めを書面にしていない場合には、家庭裁判所の養育費請求調停を申し立てましょう。調停が成立すれば、未払い分の養育費を支払ってもらえる可能性があります。

また、合意内容が調停調書として書面に残るため、今後また未払いが起こってもスムーズに養育費を請求できます。

家庭裁判所の「履行勧告」を利用する

離婚の際、調停・審判・判決などで養育費の取決めをしていた場合には、裁判所から「履行勧告」を発してもらうことができます。履行勧告は、家庭裁判所から相手方に対して、養育費を支払う約束を守るように伝えてもらう制度です。

無料で利用でき、口頭や電話での申立ても受け付けてもらえるなど、手続が非常に簡単である点が最大のメリットです。

強制力はありませんが、家庭裁判所から直接連絡がいくため、相手がプレッシャーを感じて自発的な支払いに応じるケースも十分に期待できます。

家庭裁判所の「履行命令」を利用する

離婚の際、調停・審判・判決などで養育費の取決めをしていた場合には、裁判所から「履行命令」を発してもらうことができます。履行命令は、家庭裁判所から相手方に対して、養育費を支払う約束を守るように「命令」してもらう制度で、正当な理由なく従わない場合は、10万円以下の過料に処せられます。

裁判所の「差押え(強制執行など)」を申し立てる

養育費を支払ってもらえない場合には、裁判所に「差押え(強制執行など)」を申し立てることも検討しましょう。差押え(強制執行など)とは、相手方の財産(給与など)を差し押さえて強制的に養育費を確保する制度です。

これまでは離婚の際に強制執行力のある書面(公正証書・調停調書など)を作成している場合にしか利用できない手続でした。

しかし、2026年4月の民法改正に伴い、養育費に関して夫婦で取り決めた合意書などがある場合でも未払いの養育費を理由とした差押えができるようになりました(子ども1人あたり月額8万円まで)(※)。

養育費に基づく差押え(強制執行など)では、未払い分だけでなく将来分の養育費についても、相手方の給与債権などを継続的に差し押さえることが可能です。一度手続を行えば、将来の養育費の未払いも防ぐことができるため、「今までに何度も養育費が未払いになったことがある」という場合にも有効といえます。

※ただし、このルールは、改正民法施行前(2026年3月31日以前)に養育費の取決めがされていた場合には、2026年4月1日以降に発生する養育費に限って適用されます。

相手の職場や口座がわからない!どうやって調査すればいい?

養育費に基づく差押え(強制執行など)を申し立てるには、相手方の住所・財産・勤務先を把握していなければなりません。しかし、相手方が引っ越したり、転職したりして住所・財産・勤務先がわからず差押えを諦めてしまうケースもよくありました。

そこで、2020年に施行された改正民事執行法によって、相手方に対する「財産開示手続」が強化されたり、市区町村や金融機関に対する「第三者からの情報取得手続」ができたりするようになりました。

相手方に対する「財産開示手続」

財産開示手続とは、裁判所が相手方を呼び出し、自分自身の財産(預貯金や不動産、勤務先など)について正直に報告させる制度です。

2020年に施行された改正法により、この制度の罰則が大幅に強化されました。相手方が裁判所の呼び出しを無視したり、ウソの報告をしたりした場合は、「6ヵ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」という重い刑事罰が科される可能性があります。

市区町村や金融機関に対する「第三者からの情報取得手続」

2020年に施行された改正法により、相手方本人から直接聞き出すのではなく、役所や金融機関などの「第三者」から強制的に相手の財産や勤務先に関する情報を取得できる新しい制度が始まりました。

さらに、2026年4月からは、養育費を支払う側の親に財産の開示を命じる「財産開示」、市区町村などへの給与情報などの提供を命じる「第三者からの情報取得」、財産を差し押さえる「差押え」という3つのステップを1回の申立てでできるようになりました。

未払いの養育費には時効がある!いつまでに請求すべき?

養育費の請求権には時効があるため、「あとで支払ってもらおう」と思って未払いのままにしておくと、相手方から「時効の期間が過ぎたのでもう支払いません(時効の援用)」と主張され、請求できなくなってしまうおそれがあります。

時効が完成する時期は、養育費についてどのように取り決めたかによって異なります。

取決め等の方法 時効
話合い 5年
調停・審判、判決 これから支払われる将来の養育費 5年
調停成立時、審判確定時、判決確定時にすでに支払期限が到来している過去の養育費 10年
取決めなし(※)

※2026年4月1日以降に離婚する夫婦で法定養育費が発生する場合、毎月の支払期限の翌日から5年間が時効となります。

時効の完成が迫っている場合には、差押えや裁判上の請求を行うことで、時効の完成猶予・更新(リセット)ができる可能性があります。少しでも不安があれば弁護士に早めにご相談ください。

【最新】2026年4月改正民法施行で「法定養育費」が創設されました

離婚時に養育費の取決めをしていない場合、離婚後に養育費を請求するまでの期間の養育費の支払いを求めることができませんでした。
しかし、今回の改正により「法定養育費」制度が創設され、取決めがなくても、離婚時から最低限の養育費(子ども1人あたり月額2万円)を請求できるようになります。

この法定養育費が離婚後に支払われない場合には、養育費の取決めをしていなくても相手方の預金や給与の差押えも可能です。

ただし、この法定養育費は、改正法が施行されたあと(2026年4月1日以降)に離婚したケースにのみ適用されます。施行前(2026年3月31日まで)に離婚した場合は適用されない点に注意しましょう。

養育費の未払いに関するよくある質問(FAQ)

養育費の未払いに関するよくある質問もまとめています。
ぜひ参考にしてください。

未払いの養育費を元配偶者の親(祖父母)に請求できる?

元配偶者が養育費を支払わなかったとしても、元配偶者の親(祖父母)に養育費を支払う義務はありません。

ただし、養育費を受け取る側の親(あなた)とその子どもが経済的に困窮しており、かつ祖父母が経済的に余裕のある生活をしている場合、祖父母に「扶養料」を請求できる可能性があります。

相手が無職になった、自己破産した場合は?

相手が無職になった場合でも、養育費の支払い義務がただちになくなるわけではありません。

また、養育費は自己破産の手続においても「非免責債権(支払いを免除されない借金)」に該当するため、自己破産後も請求を続けることが可能です。

養育費の未払いでお悩みなら弁護士に相談しましょう

このように、未払いの養育費を支払ってもらうためにはさまざまな方法があります。
しかし、なかには「相手方に直接連絡をしたくない」という方もいらっしゃるかもしれません。また、裁判所を通した手続は煩雑なため、ご自身で対応するのは大変です。

そのため、養育費の未払いでお悩みであれば、弁護士に相談するのがいいでしょう。

弁護士に相談するメリット

弁護士に相談すれば、相手方への連絡や交渉、書面の作成、裁判所の手続などを代わりに行ってもらえます。そのため、「相手方に直接連絡をしたくない」、「手続のやり方がわからない」という方でも安心です。

さらに、次のようなメリットもあります。

  • 時間的・精神的な負担が軽減される
  • 相手方が催促を無視できなくなり、養育費を支払ってもらえる可能性が高まる
  • あなたに有利な条件で養育費の取決めができる

未払い養育費に関する問題をスムーズに解決するためにも、一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

まとめ

養育費は子どもを育てるためになくてはならないお金であり、養育費の支払いは親の義務です。養育費を支払ってもらう約束をしたにもかかわらず未払いとなっている場合には、放置せずにきちんと養育費を請求しましょう。

「相手方に直接連絡をしたくない」、「手続のやり方がわからない」という場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士であれば、あなたの代わりに相手方への連絡や交渉、裁判所の手続などを行うことができます。

アディーレでは、未払いの養育費に関するご相談を承っております。「養育費を支払ってくれない」とお悩みなら、まずは一度ご相談ください。

監修者情報

林 頼信

弁護士

林 頼信

はやし よりのぶ

資格
弁護士
所属
東京弁護士会
出身大学
慶應義塾大学法学部

どのようなことに関しても,最初の一歩を踏み出すには,すこし勇気が要ります。それが法律問題であれば,なおさらです。また,法律事務所や弁護士というと,何となく近寄りがたいと感じる方も少なくないと思います。私も,弁護士になる前はそうでした。しかし,法律事務所とかかわりをもつこと,弁護士に相談することに対して,身構える必要はまったくありません。緊張や遠慮もなさらないでくださいね。「こんなことを聞いたら恥ずかしいんじゃないか」などと心配することもありません。等身大のご自分のままで大丈夫です。私も気取らずに,皆さまの問題の解決に向けて,精一杯取り組みます。

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