すでに離婚済でも共同親権の影響はある?養育費や面会交流、再婚時のルール

- 公開日:2025年5月26日
- 更新日:2025年05月26日
共同親権を導入する改正民法の施行は、すでに離婚している方にもさまざまな影響を及ぼします。
どのような変化や影響があるのか、不安に思われている方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、すでに離婚されている方への共同親権の導入による影響を解説します。
知っておくべき最新のルールやポイントをわかりやすくまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
この記事を読んでわかること
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共同親権とは?いつから導入される?
「共同親権」とは、父と母の両方が子どもの親権を持つ制度のことです。
現在の日本では、原則として結婚している父母にのみ共同親権が認められています。
そのため、離婚後は父と母のどちらか一方しか親権を持つことができません(単独親権)。
しかし、2024年に離婚後の共同親権を導入する民法等の一部を改正する法律が成立しました。
この改正民法は、2026年までに施行される見通しです。
すでに離婚している場合の共同親権の影響
共同親権を導入する改正民法では、子どもの利益のために両親が協力して子育てに関わることを目的とし、新たにさまざまなルールが定められました。
これにより、すでに離婚している方にも主に以下のような影響があります。
- 単独親権から共同親権へ変更できるようになる
- 養育費を受け取りやすくなる
- 親族による面会交流の申立てが可能になる
- 再婚し養子縁組したときの親権者が明確になる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
単独親権から共同親権へ変更できるようになる
共同親権が導入されると、すでに離婚して単独親権の定めをしている場合も、単独親権から共同親権への変更の申立てができるようになります。
ただし、共同親権への変更を含め、親権者の変更が認められるのは、家庭裁判所が「子の利益のために必要がある」と判断したときのみです。
なお、共同親権が導入されたからといって、自動的に単独親権から共同親権へ変更されることはありません。
養育費を受け取りやすくなる
共同親権が導入される際には、新たに養育費に関するルールが設けられます。
なかでも、以下のルールによって、すでに離婚済の方も養育費を受け取りやすくなることが期待できるでしょう。
- 先取特権の付与
- 養育費の差押え・情報開示手続の簡素化
先取特権が付与されると、養育費の支払いが滞った場合に、優先的に相手の財産を差し押さえられるようになります。
また、養育費の差押え・情報開示手続が簡素化されることで、裁判における養育費の取決めや差押えがよりスムーズになります。
これにより、養育費を回収するハードルがより低くなるはずです。
詳しくは、以下のコラムでも解説していますので参考にしてみてください。
親族による面会交流の申立てが可能になる
改正民法では、父母のみに限らず、祖父母などの親族も一定の条件で面会交流を求める申立てができるようになります。
ただし、申立てをしたからといって必ずしも面会交流が認められるわけではありません。
親族などによる面会交流が認められるのは、裁判所が「子の利益のため特に必要があると認めるとき」に限られます。
再婚し養子縁組したときの親権者が明確になる
改正民法では、子連れで再婚し子どもと再婚相手が養子縁組した場合、再婚相手とその配偶者が親権者になることが明確化されました。
これにより、たとえば改正民法施行後にあなたと元配偶者が共同親権の定めをしても、再婚して養子縁組をした場合には元配偶者は親権を失うことになります。

なお、元配偶者との共同親権のもとで15歳未満の子どもと再婚相手が養子縁組するには、親権者双方の同意が必要です。
そこで改正民法では、養子縁組に関して同意が得られないケースに備え、父母の意見の対立を調整する裁判手続も新設されています。
裁判所に「子どもの利益のため特に必要がある」と認められれば、元配偶者の同意を得ず再婚相手との養子縁組ができるようになります。
まとめ
共同親権が導入されると、すでに離婚している方も単独親権から共同親権への変更申立てができるようになります。これは、特に大きな変化といえるでしょう。
そのほか、養育費・面会交流・再婚後の養子縁組などについても新たなルールが設けられます。
お子さまにとってよりよい選択をするためにも、制度や手続の内容をきちんと理解したうえで、適切に対応することが大切です。
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監修者情報

- 資格
- 弁護士
- 所属
- 東京弁護士会
- 出身大学
- 慶應義塾大学法学部
どのようなことに関しても,最初の一歩を踏み出すには,すこし勇気が要ります。それが法律問題であれば,なおさらです。また,法律事務所や弁護士というと,何となく近寄りがたいと感じる方も少なくないと思います。私も,弁護士になる前はそうでした。しかし,法律事務所とかかわりをもつこと,弁護士に相談することに対して,身構える必要はまったくありません。緊張や遠慮もなさらないでくださいね。「こんなことを聞いたら恥ずかしいんじゃないか」などと心配することもありません。等身大のご自分のままで大丈夫です。私も気取らずに,皆さまの問題の解決に向けて,精一杯取り組みます。