セックスレスを理由に離婚したい!離婚や慰謝料請求できるケースを解説

- 公開日:2025年4月7日
- 更新日:2025年04月07日
セックスレスは、夫婦関係の悪化に繋がりかねない重大な問題です。
なかには、セックスレスを理由に「離婚したい」とお悩みの方や、精神的に苦痛を感じ「慰謝料を請求したい」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこのコラムでは、セックスレスを理由に離婚できるケース・離婚できないケースに加え、慰謝料請求ができるかどうかについても解説します。
他人に打ち明けにくい不安や疑問を、少しでも解消するきっかけとなれば幸いです。
目次
この記事を読んでわかること
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セックスレスとは?
セックスレスとは、一定期間パートナーとの性交渉がない状態のことをいいます。
セックスレスといえる期間
法律上、セックスレスといえる期間に明確な定義はありません。
一般社団法人 日本性科学会によると、特殊な事情がないのに1ヵ月以上性的な接触がなく、その状態が長期間続くと予想される場合を目安としているようです。
セックスレスになる原因
セックスレスになる原因はさまざまですが、たとえば、以下のようなことが挙げられます。
- 忙しくて時間がない
- 相手に性的魅力を感じなくなった
- 子どもが生まれてタイミングがない など
セックスレスは、お互いの同意や理由があれば必ずしも悪いことではありません。
しかし、夫婦の一方が性交渉を望んでいるのにもう一方が拒絶しているようなケースでは、夫婦仲の悪化や離婚につながるおそれもあるでしょう。
セックスレスを理由に離婚できる?
離婚の方法には、「離婚協議(夫婦間の話合い)」、「離婚調停(裁判所の手続を利用した話合い)」、「離婚裁判 」があります。
離婚協議や離婚調停では、離婚理由は問われません。そのため、夫婦が合意すればセックスレスを理由に離婚することが可能です。
一方で、離婚裁判では、以下のいずれかの法定離婚事由(法律上の離婚原因)がなければ、原則として離婚は認められません。
- 浮気・不倫(不貞行為)
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
セックスレス自体は「法定離婚事由」にはあたらないため、それだけで離婚が認められることはありません。
ただし、セックスレスの程度(経緯や期間、深刻さなど)によっては、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるとして離婚が認められる可能性はあるでしょう。
セックスレスで離婚が認められるケース・認められないケース
裁判において、セックスレスが「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたるとして離婚が認められるには、「セックスレスによって夫婦関係が破綻した」といえなければなりません。
以下で、セックスレスを理由とした離婚が認められるケース、認められないケースを具体的に見ていきましょう。
離婚が認められる可能性があるケ―ス
たとえば、以下のような事情がある場合、セックスレスが「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるとして離婚が認められる可能性があります。
- 正当な理由なく性交渉を拒否された
- 子どもを望んでいるのに拒否され続けた
- セックスレスの原因が配偶者の不貞行為である など
なお、配偶者に不貞行為をはじめとする「法定離婚事由」にあたる行為があった場合には、それ自体を離婚原因として主張することが可能です。
離婚が認められない可能性があるケ―ス
一方で、以下のようなケースでは、セックスレスが「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるとはいえないでしょう。
- 夫婦で性交渉をしないことに同意している
- 病気や高齢など正当な理由で性交渉がない
- 単身赴任などで物理的に性交渉ができない
このように、どちらにも責任がなく自然にセックスレスになったような場合、「セックスレスによって夫婦関係が破綻した」とはいえません。
そのため、セックスレスだけを理由に離婚を認めてもらうのは難しいといえます。
セックスレスで離婚するとき慰謝料は請求できる?
そもそも慰謝料は、相手の故意や過失によって被った精神的苦痛に対して支払われるお金です。
つまり、セックスレスが不法な行為と評価できるものである必要があります。
そのため、セックスレスだというだけで慰謝料を請求できるわけではありません。
たとえば、セックスレスがさほど深刻なものでない場合や、夫婦のどちらにも責任がない場合、慰謝料を請求するのは難しいといえるでしょう。
しかし一方で、正当な理由なく相手が性交渉を拒否し続けたことで夫婦関係が破綻し、精神的苦痛を被ったのであれば、慰謝料を請求できる可能性があります。
セックスレスによる離婚慰謝料の相場
裁判上の離婚慰謝料の相場は、100万円~300万円程度です。
ただし、セックスレスを理由とする慰謝料は、高くても100万円前後であることが多く、実際の金額は以下のようにさまざまな事情を総合的に考慮して決まります。
- セックスレスの期間・程度
- 婚姻期間
- 相手の収入 など
具体的な事情によっては、相場どおりの金額にならないこともあり得ます。
セックスレスによる離婚慰謝料が高額になるケース
慰謝料の金額は、あなたが負った精神的苦痛の程度が大きいほど高額になります。
たとえば以下のような事情があると、「精神的苦痛の程度が大きい」として慰謝料が増額に傾く可能性があるでしょう。
- セックスレスの期間が長い(3年以上など)
- 結婚して一度もセックスしていない
- 婚姻期間が長い
- セックスを拒否する際に暴言を吐かれた
- 配偶者がセックスレスを解消する努力をしない など
このほか、配偶者に不貞行為やモラハラ・DVなどの不法行為がある場合、不法行為に対する慰謝料も請求できる可能性があります。
セックスレスで離婚や慰謝料を請求するには証拠が重要
セックスレスを理由とした離婚や慰謝料は、証拠がなくても請求すること自体はできます。
しかし、必ずしも配偶者が請求に応じてくれるとは限りません。
特に、離婚裁判を提起することになれば、証拠によってセックスレスの事実やその重大さを証明する必要があります。
そのため、正当な理由なく、長期間にわたり性交渉を拒否され続けたことがわかる以下のような証拠を集めておきましょう。
- 日記やメモ
- メールやLINEのやりとり
- 会話の録音 など
なお、一般的にセックスレスを客観的に証明することは難しいと考えられるため、なるべく複数の証拠を組み合わせることが大切です。詳しくは、弁護士に相談してみるとよいでしょう。
まとめ
セックスレスは、夫婦にとって重大な問題である一方で、基本的には裁判で離婚が認められるための離婚原因にはあたりません。
そのため、セックスレスを理由に離婚したいのであれば、できるだけ裁判に発展しないよう話合いによる解決を目指しましょう。
具体的な事情によっては、離婚の際に慰謝料を請求できることもあります。ただし、配偶者が支払いに応じてくれるとは限らないため、証拠をもとに交渉することが重要です。
離婚の話合いがうまく進まない場合は、自分でどうにかしようとせず、弁護士に相談することをおすすめします。
アディーレ法律事務所には、離婚問題について経験豊富な弁護士が在籍していますので、お困りのことがあればお気軽にご相談ください。
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監修者情報

- 資格
- 弁護士
- 所属
- 東京弁護士会
- 出身大学
- 慶應義塾大学法学部
どのようなことに関しても,最初の一歩を踏み出すには,すこし勇気が要ります。それが法律問題であれば,なおさらです。また,法律事務所や弁護士というと,何となく近寄りがたいと感じる方も少なくないと思います。私も,弁護士になる前はそうでした。しかし,法律事務所とかかわりをもつこと,弁護士に相談することに対して,身構える必要はまったくありません。緊張や遠慮もなさらないでくださいね。「こんなことを聞いたら恥ずかしいんじゃないか」などと心配することもありません。等身大のご自分のままで大丈夫です。私も気取らずに,皆さまの問題の解決に向けて,精一杯取り組みます。