ら行 | 離婚用語集
ら行の用語
り
- 履行勧告 [りこうかんこく]
離婚時に調停や審判で決めた約束事を守らない相手に、義務を実行するよう家庭裁判所から勧告してもらう制度です。子どもと会わせる約束など、金銭の支払い請求以外の問題にも利用することができます。
調停や審判をした家庭裁判所に申し出る必要はありますが、決まった方式はなく、費用もかかりません。法的拘束力はありませんが、相手方に対して心理的なプレッシャーを与えることができます。
- 履行命令 [りこうめいれい]
家庭裁判所で決められた金銭債務(養育費など)の支払いを相手方が履行しない場合に、裁判所が相当の期間を定めて、相手方に期間内に履行を命じる制度です。
裁判所が相手の支払い状況を調査したうえで、支払いをするよう勧告する履行勧告という制度もありますが、あくまで勧告にとどまり、強制力はありません。そこで、別途履行命令制度が設けられたのです。履行命令に対し、相手が正当な理由なく履行命令に従わない場合、家庭裁判所によって10万円以下の過料の支払いが命じられる場合があります。家庭裁判所は、この履行命令を出す前に必ず相手方の意見を聞くことになっていますが、相手が呼び出しに応じない場合は申立てどおりの命令が出る場合があります。
ただし過料が10万円以下ですので、相手によっては履行勧告や履行命令を出しても義務を履行しない可能性があります。その場合は強制執行の方法によるしかありません。なお、履行勧告や履行命令を申し出ずに、いきなり強制執行を申し立てることも可能です。
- 離婚 [りこん]
有効に成立した婚姻関係を、夫婦が生存中に将来に向かって解消することをいいます。有効に成立した婚姻関係を前提としますので、婚姻関係自体が初めから成立しておらず無効という場合(たとえば偽装結婚)には、離婚ではなく婚姻無効の訴え等の手続によることになります。
また、夫婦が生存中である必要がありますので、夫婦の一方が死亡した場合には、離婚と同様に婚姻関係が解消されますが、離婚とは区別されています。
- 離婚給付 [りこんきゅうふ]
離婚する際には離婚届を提出するだけでなく、財産分与や子どもの養育費・慰謝料などのお金の問題についても決める必要があります。このような離婚の際に一方配偶者から他方配偶者へ給付されるものを総合して離婚給付といいます。
離婚したいばかりにとりあえず離婚届に署名押印してしまうと、離婚後に子どもを抱えて生活費にも事欠く状況にもなりかねません。また、お金の問題だけを先送りすると、本来であればもらえたはずの離婚給付がもらえなくなってしまう可能性もあります。離婚後の生活のために、離婚給付についてもきちんと話し合っておく必要があります。
- 離婚原因 [りこんげんいん]
夫婦が離婚に至った事情、理由をいいます。夫婦が離婚に至る理由は、夫婦により千差万別であり、協議離婚・調停離婚の場合には、夫婦が離婚に合意すれば離婚原因がどのようなものであるかは一切問われません。
しかし、裁判離婚の場合には、離婚が認められるためにはさまざまな離婚原因のうち、民法が定めている5つの離婚理由に該当する必要があります。民法が定めている離婚理由は、(1)不貞行為、(2)悪意の遺棄、(3)3年以上の生死不明、(4)配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと、(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由であり、相手方が離婚に応じない場合にはこれら5つの離婚理由が認められなければ、離婚することはできません。
また、協議離婚・調停離婚の場合、離婚原因は離婚それ自体に影響はありませんが、離婚の際の条件(財産分与・慰謝料)に影響を与える可能性はあります。
- 離婚時年金分割制度 [りこんじねんきんぶんかつせいど]
離婚時の年金分割制度は、婚姻期間中に納めた厚生年金や共済年金の保険料を夫婦共同で納めたものとみなして、離婚したときに、結婚していた期間に相当する分の厚生年金(共済年金)の報酬比例部分(年金の2階建て構造の2階の部分)を夫婦で分割することができるようにしたものです。
これには2種類あり、1つは平成19年4月1日に施行された「離婚時の年金分割」といわれるもので、施行日以降に離婚が成立した場合に、夫婦合意により年金分割の割合を決定する方法です。
2つ目は「第3号被保険者の年金分割」といわれ、平成20年4月1日から施行されたもので、第3号被保険者の請求により一律に年金の2分の1が分割されるものです。ただし、分割の対象となるのは平成20年4月1日以降に支払った年金分になりますので、実際に利用する場合は、平成20年4月以降に結婚した場合でない限り、「離婚時の年金分割」と併用する必要があるでしょう。
利用する際の注意点として、分割後に年金を受給するには、それぞれが年金の受給要件(支給開始年齢や、受給資格期間)を満たすことが必要です。したがって、すでに年金を受給している人から分割を受けたからといって、ただちに年金を受給できるわけではありません。また、離婚をしたときから2年以内に請求する必要があります。
- 離婚訴訟 [りこんそしょう]
相手方が離婚に応じない場合に、家庭裁判所に訴訟を提起して離婚をめざすことになりますが、家庭裁判所において離婚理由が認められるかを審理する手続を離婚訴訟といいます。離婚訴訟をするためには、事前に離婚調停を経ていることが必要です(調停前置主義)。
離婚訴訟において、離婚するという判決をもらうためには、民法が定める5つの離婚理由が必要です。民法が定めている離婚理由は、(1)不貞行為、(2)悪意の遺棄(3)、3年以上の生死不明、(4)配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと、(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由であり、5つの離婚理由が認められなければ、相手方が離婚に応じない限り離婚することはできません。
裁判所に離婚理由があると認めてもらう必要がありますので、離婚理由が存在することを裏付ける証拠等を提出する必要があります。そして、裁判所は、離婚理由があると判断した場合には、離婚する旨の判決を出すことになります。
離婚訴訟でも、審理をしていくうちに、夫婦の間で話し合いがまとまれば、判決ではなく和解で手続が終わるケースもあります。
- 離婚調停 [りこんちょうてい]
相手方が離婚に応じない場合に、家庭裁判所に調停の申立をして離婚をめざすことになりますが、家庭裁判所において調停委員関与のもと、離婚について話し合いをする手続のことを離婚調停といいます。
離婚調停においては、調停委員(男女1人ずつの場合が多い)が、夫婦双方の話を聞き、夫婦が離婚について合意に至れるよう仲裁に入ってくれます。夫婦間で話合いがまとまれば、調停が成立します。調停が成立した場合には、調停調書が作成され、合意内容がきちんと守られない場合には強制執行をすることが可能です。
調停は訴訟と比較して簡単な手続であることから、自分だけでできると思われている方もいらっしゃることかと思いますが、一旦、調停が成立してしまうと、原則としてその後その内容に対して異議を申し立てることができなくなってしまいます。
そのため、きちんと自分の意見を主張し、少しでも疑問な点、納得がいかない点があれば事前にきちんと調停委員に伝えておく必要がありますので、調停が成立してから後悔することがないよう、弁護士へ相談することが賢明であるといえるでしょう。
- 離婚届 [りこんとどけ]
協議離婚を成立させるため、または調停・審判・裁判による離婚の成立を報告するための戸籍上の届け出のことをいいます。話し合いで離婚する場合は、離婚届を届け出ることによって、離婚の効果が生じます。
- 離婚届の証人 [りこんとどけのしょうにん]
離婚を成立させるには離婚届の提出が必須となりますが、離婚届を提出する際には「証人」が必要となります。証人は、離婚をする当事者が「離婚をしたい」という意思を持っていることを証明するための存在で、離婚する当事者以外の18歳以上の人(※)なら誰でもいいとされており、夫側から1人、妻側から1人というような決まりもありません。
離婚する際、誰に証人になってもらうべきか迷う方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなに悩む必要はありません。父親、母親、姉、兄など家族や従兄弟などの親戚関係にあたる方々はもちろん、友人や知り合いなどの関係でも証人になることが可能です。また、国籍が日本ではない外国人でも離婚届の証人になることができます。
※民法改正のため、2022年4月1日より、成人(成年)年齢は20歳から18歳に引き下げられました。
- リバースモーゲージ [りばーすもーげーじ]
リバースモーゲージとは、高齢者が居住する住宅や土地などの不動産を担保として、一括または年金の形で定期的に融資を受け取り、受けた融資は、利用者の死亡、転居、相続などによって契約が終了したときに担保不動産を処分して元利一括で返済する制度です。住宅処分の形態で当該不動産を担保とする「担保型」と売買で所有権移転する「権利移転型」に分類されますが、日本は、米国と同様に「担保型」になっています。
この制度は、高齢者にとってメリットが多いといえます。自宅などの不動産は持っていても、現金収入が少なく、老人であるための将来不安や病気、不測の事態に対するおびえのため蓄えを崩せない高齢者が、保有している不動産を担保にして、年金のようなかたちで毎月の生活資金を受け、住み慣れた自宅を手放さずに住みながら、老後の生活資金を受け取れるからです。さらに、融資は本人が死亡した時点で担保となっていた自宅を売却して清算するため、生前に自宅を手放すような抵抗感も感じなくてすみます。離婚の財産分与によって不動産の所有権を得た場合には、離婚後の生活設計の一手段として考えてもいいのではないでしょうか。