離婚は「言ったほうが負け」って本当?不利にならないためのポイントを解説
- 公開日:2025年12月26日
- 更新日:2025年12月26日
離婚を考えているものの、「自分から切り出すと不利になるのでは?」と不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、先に「離婚したい」と伝えたからといって、不利になるわけではありません。
大切なのは、伝え方やタイミング、事前の準備です。
このコラムでは、離婚は「言ったほうが負け」といわれている理由や、不利にならないための具体的なポイント、不利になりやすい言動について解説します。
「離婚したいなんて言わなければよかった」と後悔しないためにも、ぜひ最後までご覧ください。
目次
この記事を読んでわかること
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離婚は「言ったほうが負け」といわれる理由
基本的に、先に「離婚したい」と言ったほうが負けということはありません。
離婚調停や離婚裁判に発展した場合も、「先に離婚を切り出した」という理由だけで不利になることはないため、ご安心ください。
「言ったほうが負け」といわれるのには、以下のような理由があると考えられます。
勢いで離婚を切り出すと後悔しやすい
勢いで離婚を切り出してしまうと、「負けた」と感じることがあります。
これは、「やっぱり離婚したくない」と思い直してもあとに引けなくなったり、準備不足で話合いがスムーズに進まなかったりして、後悔しやすくなるためです。
特に、準備が整っていないまま離婚をしてしまうと、離婚後の生活にまで影響が出ることもあるため、「言ったほうが負け」になりかねません。
離婚原因を証明する必要がある
話合いで離婚に合意できない場合、最終的には裁判を提起することになりますが、裁判で離婚が認められるには法定離婚事由(法律上の離婚原因)が必要です。
このとき、法定離婚事由があることを証明する責任は、「離婚を請求する側」にあります。
たとえば、浮気・不倫があったことを裏付ける客観的な証拠を、ご自身で集めて証明しなければなりません。
この精神的・時間的な負担の大きさが、結果として「言ったほうが負け」と感じてしまう理由の1つだといえるでしょう。
離婚条件を妥協しやすい
離婚を切り出した側は、「一日も早く離婚したい」という気持ちが強くなりがちです。
それを逆手に取り、相手が「親権を譲ってくれるなら離婚してもいい」「財産分与をしないなら離婚してもいい」などと強気な要求を突きつけてくることがあります。
その際、早期解決を優先しすぎると、離婚条件を妥協することになりかねません。
そうなれば、金銭面・条件面で損をしてしまうため、「負けた」と感じる原因になります。
離婚で「言ったほうが負け」にならないための5つのポイント
離婚を切り出して「負けた」と感じないためには、以下の5つのポイントを押さえておくことが大切です。
それぞれ詳しく解説します。
①離婚したい理由を整理する
離婚を切り出す前に、なぜ離婚したいのか理由を整理しましょう。
感情的になっているだけなのか、本当に離婚すべき状況なのかを冷静に見極めることが大切です。
具体的には、以下のポイントについてノートなどに書き出してみることをおすすめします。
- 離婚したいと思ったきっかけや出来事
- なぜ離婚したいと思ったのか
- いつから悩んでいるのか など
これらをまとめておけば、離婚を切り出すときや話合いのとき、自身が思っていることを相手に冷静に伝えられるはずです。
「離婚したいなんて言わなければよかった」といった後悔も少なくなるでしょう。
②証拠を集めておく
配偶者に不貞行為などの離婚原因がある場合、証拠を事前に集めておきましょう。
特に、話合いで合意できず調停や裁判に発展した場合、客観的な証拠がなければ主張が認められないおそれがあるためです。
たとえば、不貞行為があった場合、以下のようなものが証拠になり得ます。
- 肉体関係があったとわかる内容のメールやSNS、通話記録
- ホテルなどに出入りしている写真・動画
- 配偶者や不貞相手が不貞の事実を認めた録音 など
証拠があれば、慰謝料請求をする場合にも役立ちます。
③希望する離婚条件を明確にしておく
安易に離婚条件を妥協しないよう、あらかじめご自身の希望を明確にしておきましょう。
具体的には、以下の条件について考えておく必要があります。
また、「絶対に譲れない条件」をあらかじめ決めておくことも大切です。
そうすることで相手から強気な要求をされても冷静に対応でき、納得のいく離婚を実現しやすくなります。
④離婚後の生活の準備をしておく
離婚後の生活の目途を立て、準備しておくことも重要です。
そうすることで、離婚したあと生活に困窮し、「離婚しなければよかった」と後悔してしまうリスクを減らせます。
具体的には、以下の準備をしておきましょう。
- 仕事と生活費を確保する
- 離婚後の住まいを決める
- 公的支援を調べる など
なお、お子さまがいる場合には、離婚後の子どもの預け先や今後通う学校のことなども考えておくと、より安心です。
⑤弁護士に相談する
離婚で「負けない」ためには、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士であれば、ご状況に応じた具体的なアドバイスをすることが可能です。
また、弁護士に依頼すれば、法的知識や経験に基づいてあなたの代わりに相手と交渉してもらえます。
精神的な負担を軽減できるだけでなく、あなたにとって有利な条件でスムーズに離婚できる可能性も高まるでしょう。
離婚するとき不利になりやすい言動
このように事前に準備を整えておけば、離婚を先に切り出しただけで「負ける」ことを防げます。
しかし、ご自身の言動によっては交渉で不利になってしまいかねません。
特に、以下の言動はあなたにとって不利に働くおそれがあるため、注意しましょう。
浮気・不倫をする
離婚を考えているからといって、配偶者以外の異性と交際し肉体関係を持ってしまうと、「不貞行為」があったとして配偶者から慰謝料を請求されるおそれがあります。
また、不貞行為があったとみなされた場合、離婚原因を作った「有責配偶者」にあたるとして、離婚請求自体が認められなくなる可能性もあるため注意が必要です。
一方的に別居する・家を追い出す
正当な理由もないのに、配偶者の同意なく一方的に家を出ていったり、配偶者を家から追い出したりすると、「悪意の遺棄」とみなされるおそれがあります。
「悪意の遺棄」があったとみなされた場合、離婚原因を作った「有責配偶者」にあたるとして、離婚請求自体が認められなくなる可能性があるため注意が必要です。
場合によっては、配偶者から慰謝料を請求されるおそれもあります。
別居する場合には、事前に配偶者と話合い、合意を得てから別居するようにしましょう。
ただし、配偶者からDVを受けているなどの事情がある場合、配偶者の同意を得て別居することは事実上難しいため、早急に避難することが大切です。
財産を勝手に処分する・隠す
ご自身名義の財産であっても、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産であれば実質的共有財産として財産分与の対象となります。
そのため、財産を渡したくないからといって、財産分与の対象となり得る財産を勝手に処分したり、隠したりしてはいけません。
そのような行為をしてしまうと、調停や裁判で不利になるだけでなく、問題が長引くおそれもあります。
離婚条件を譲歩しすぎる
離婚の話合いをスムーズに進めるために、ある程度相手に歩み寄ることは大切です。
しかし、離婚条件について譲歩しすぎると、後悔することになりかねません。
早く離婚したいあまり、「財産分与はいらないから離婚したい」「親権は欲しいけど養育費はいらない」などと安易に妥協してしまわないように注意しましょう。
特に、親権や面会交流、養育費などはお子さまにも影響するものです。
そのため、判断に迷った場合は弁護士に相談し、客観的なアドバイスを受けることをおすすめします。
配偶者に感情をぶつける
離婚の話合いをする際、相手に対して感情的になって暴言を吐いたり、激しく責めたりすると、話がこじれて離婚がスムーズに進まなくなるおそれがあります。
また、暴言や脅迫的な言動が録音・録画されてしまうと、調停や裁判であなたにとって不利な証拠として使われてしまうことにもなりかねません。
そのため、離婚を切り出すときや話合いをするときは、できるだけ冷静に自分の気持ちや希望を伝えるように心がけましょう。
どうしても感情的になってしまうのであれば、弁護士に依頼して交渉を任せることも検討してみてください。
まとめ
配偶者より先に離婚を切り出しただけで、不利になることはありません。
しかし、勢い任せの行動は、結果として不利な条件での離婚につながるおそれがあります。
「負けた」と感じないためには、事前の準備が何よりも大切です。
少しでも有利な条件で離婚したいとお考えであれば、弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士に依頼すれば、希望する条件や主張を適切に伝えられるため、将来を見据えた有利な条件で取決めができる可能性が高まるでしょう。
アディーレ法律事務所では、離婚に関するさまざまなご相談を承っております。
あなたが有利な条件で離婚できるよう尽力いたしますので、お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
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監修者情報
- 資格
- 弁護士
- 所属
- 東京弁護士会
- 出身大学
- 慶應義塾大学法学部
どのようなことに関しても,最初の一歩を踏み出すには,すこし勇気が要ります。それが法律問題であれば,なおさらです。また,法律事務所や弁護士というと,何となく近寄りがたいと感じる方も少なくないと思います。私も,弁護士になる前はそうでした。しかし,法律事務所とかかわりをもつこと,弁護士に相談することに対して,身構える必要はまったくありません。緊張や遠慮もなさらないでくださいね。「こんなことを聞いたら恥ずかしいんじゃないか」などと心配することもありません。等身大のご自分のままで大丈夫です。私も気取らずに,皆さまの問題の解決に向けて,精一杯取り組みます。

