特集:気になる!隣の離婚事情

第6回「夫の職業別!妻が考えるべき離婚問題」

離婚には、財産分与、慰謝料、年金分割、婚姻費用、親権、養育費など、さまざま問題がありますが、実は、夫の職業によって特に問題となりやすいことや注意すべきポイントが異なります。

「気になる!隣の離婚事情」第6回では、夫の職業別に生じやすい離婚問題の特徴を見ていきましょう。

医者の夫を持つ妻の離婚

医者の夫との離婚における医者ならではの特徴や問題点、よくある誤解を見ていきましょう。

Aさんの例

Aさん

Aさん

家族構成 夫(医者・医療法人を経営)、子ども(高校生)
離婚を考えたきっかけ 忙しい夫の代わりに家事・育児を一人で負担し不満があった
夫の職場不倫が発覚した
離婚の悩み
  • 持ち家に住んでいるため家や財産をどうすればよいのかわからない
  • 子どもが医学部進学を考えているため学費など経済的な不安
  • 夫のほうが高収入なので親権者になれないのではないかと不安

※上記は、当事務所が実際に取り扱った事例ではありません。特徴や問題点をわかりやすくイメージしていただくために作成しています。

医者との離婚ならではの特徴や問題

医者の夫を持つ妻は、離婚において具体的にどんなことを考える必要があるのでしょうか。Aさんの例から、医者ならではの離婚の特徴や問題を見ていきましょう。

複雑な財産分与をしなければならない

夫婦の一方のみが医者である場合、その収入の高さから、「原則として2分の1ずつ」とされている財産分与の割合が修正されることがあります。
また、高収入であれば、有価証券や車、不動産など、さまざまな財産を保有している可能性があり、複雑な財産分与をしなければなりません。

Aさんの場合は、今住んでいる家をどうするのかに加え、夫の医療法人に利益が出ていたり資産を有していたりすれば、出資持分をどのように評価するかも難しい問題となるでしょう。

原則に従わない複雑な財産分与を自分自身で行うと、思わぬ損をしてしまうおそれがあるため注意が必要です。

適切な慰謝料の交渉が必要

Aさんのように不倫をした夫と離婚する場合、不倫相手だけでなく夫にも慰謝料を請求できるため、慰謝料についても考えなければなりません。

医者の方は一般的に高収入とされるため、慰謝料も高額になりやすい傾向がありますが、ケースに応じ、適切な金額の慰謝料を請求する必要があります。
高すぎる金額を請求すると話合いが長期化してしまうことがありますし、反対に控えめな金額を請求すると低すぎる金額で合意して損してしまうおそれもあるため、注意が必要です。

また、1人で慰謝料請求の証拠を精査したりスムーズに交渉したりするのも難しいでしょう。

慰謝料請求についてもっと詳しく見る

養育費について「算定表」で計算できない場合がある

養育費の金額は「養育費算定表」を用いて算出することが多いです。

しかし、「算定表」には給与所得者は2,000万円、自営業者は1,567万円を上限とする年収の記載しかありません。年収がこれらの金額を上回る場合、「算定表」を用いた算出ができないため、適切な金額をめぐって争いが生じるおそれがあります。

また、Aさんのように子どもが医学部に進学する予定がある場合や、すでに医学部に通っている場合、養育費の支払い終期を「大学(医学部を含む)を卒業するまで」と取り決める必要があるため、注意が必要です。

医者の夫との離婚で誤解されがちなこと

Aさんのように「夫のほうが高収入だから自分は親権者になれないのではないか?」と不安に思われる方は多いです。
しかし実は、「収入が低い」という理由のみで、親権者を決める際に不利になることはありません。

親権者は、離婚後の監護能力に加え、これまでの子どもの監護状況や子どもに対する愛情、ある程度年齢の高い子どもであれば子ども自身の意思など、収入以外の要素も考慮されて決まるためです。

なお、未成年の子どもがいる場合、親権者を決めないと離婚できませんので注意しましょう。

医者の妻が離婚のリスクを最小限にするには?

このように、医者の夫との離婚は考えるべきことや対応すべきことが多く複雑なため、特徴や注意点を理解しきちんと準備しておくことが大切です。

しかし、ご自身での対応が難しい問題も多いため、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士であれば財産分与や慰謝料請求、養育費の算定などを適切に行えるため、ご自身で気づかないまま金銭面で損することがなくなり、離婚後の不安が軽減されるでしょう。
話合いや交渉も任せられるため、忙しい夫との話合いが進まず問題が長期化したり、時間的・精神的負担が大きくなったりするリスクも抑えられます。

また、原則どおりの主張をそのまま行わないほうが適切なケースでも、これまでの経験やノウハウを駆使して、具体的な根拠に基づき交渉できるため安心です。

アディーレでは、医者の夫との離婚のご相談を承っております。「離婚で後悔したくない」とお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。

公務員の夫を持つ妻の離婚

公務員の夫との離婚で知っておくべき特徴や問題点、よくある誤解を見ていきましょう。

Bさんの例

Bさん

Bさん

家族構成 夫(公務員・県庁勤務)、子ども(3歳)
離婚を考えたきっかけ 残業や転勤・出向による単身赴任で家にいないことが多い夫に不満があった
夫が単身赴任中に不倫していたとわかった
離婚の悩み
  • 子どもがまだ小さいため夫の安定した収入がなくなることに不安がある
  • 夫の貯金額を把握しておらず財産分与で損をしないか心配している
  • 夫の退職が10年以上先のため退職金が財産分与できるのかわからない

※上記は、当事務所が実際に取り扱った事例ではありません。特徴や問題点をわかりやすくイメージしていただくために作成しています。

公務員との離婚ならではの特徴や問題

公務員の夫を持つ妻は、離婚において具体的にどんなことを考える必要があるのでしょうか。Bさんの例から、公務員ならではの離婚の特徴や問題を見ていきましょう。

退職金の計算が特殊

公務員は、一般的に退職金を受領する見込みが大きいとされています。そのため、Bさんの夫のように退職が10年以上先であっても財産分与の対象となる可能性が高いです。

ただし、まだ支払われていない退職金を財産分与する場合、状況によって適切な方法で計算をする必要があるため注意が必要です。
計算自体も複雑なので、自分で計算するのは難しい場合もあるでしょう。

退職金の算定方法についてもっと詳しく見る

保有財産を見落とさないよう注意が必要

Bさんの場合、離婚の話合いをする前に貯金額を含めた夫の保有財産をきちんと把握しておく必要があります。

特に公務員は、自身の加入している共済組合を利用して貯金をしているケースがありますが、給与から天引きされていることがあるため、見落としがちです。
共済組合の貯金は一般の金融機関の預金と比べて利率が高いため、まとまった金額を貯金しているかもしれません。

保有財産を見落として、財産分与で損をしないよう注意しましょう。

養育費の支払いを確実にするための対策が必要

公務員は一般的に収入が安定しているので、自分が親権者となった場合も養育費の支払いを受けやすいといえるでしょう。

一方で、特にBさんのように子どもがまだ小さい場合、長期間にわたって養育費を支払ってもらわなければなりません。そのため、養育費の不払いが起きないよう公正証書を作成しておく必要があります。

公正証書は、夫婦で公証役場に出向いて公証人と面談し、作成の手続をします。自分で作った文書を持って行けばよいというわけではないため、注意が必要です。

公務員の夫との離婚で誤解されがちなこと

Bさんのように不倫が原因で離婚するケースでは、「夫の職場に不倫がばれたら、夫が処分されてもらえるはずのお金をもらえなくなるのではないか」と不安に思われている方もいらっしゃるかもしれません。

たしかに公務員の場合、職種や状況によっては不倫が処分の対象になるケースもあります。しかし、そもそも離婚すること自体で離婚原因である不倫まで夫の職場にばれる可能性は低いでしょう。

ただし、自分で周囲に夫の不倫をばらした場合、職場に知られる可能性もあるため注意が必要です。

公務員の妻が離婚のリスクを最小限にするには?

このように、公務員の夫との離婚は注意すべき点が多く複雑な手続もあるため、特徴を理解しきちんと準備しておくことが大切です。

しかし、ご自身で対応することが難しい問題もあるため、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士であれば、財産分与について適切な方法で算定し、取り決めることができます。将来の退職金もきちんと分割すれば多くもらえる場合もあるため、離婚後も安心です。

夫が財産開示してくれない場合も、弁護士が介入すれば開示してくれることもあります。弁護士会照会制度や調査嘱託制度なども利用できるため、より適切に財産分与できる可能性が高まるでしょう。

また、弁護士は養育費をはじめとする離婚条件について、適切な内容の公正証書を公証人とやり取りしながら作成できるため、手続の負担が軽減されます。

アディーレでは、公務員の夫との離婚のご相談を承っております。「少しでも有利な条件で離婚したい」とお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。

監修者情報

林 頼信

弁護士

林 頼信

はやし よりのぶ

資格
弁護士
所属
東京弁護士会
出身大学
慶應義塾大学法学部

どのようなことに関しても,最初の一歩を踏み出すには,すこし勇気が要ります。それが法律問題であれば,なおさらです。また,法律事務所や弁護士というと,何となく近寄りがたいと感じる方も少なくないと思います。私も,弁護士になる前はそうでした。しかし,法律事務所とかかわりをもつこと,弁護士に相談することに対して,身構える必要はまったくありません。緊張や遠慮もなさらないでくださいね。「こんなことを聞いたら恥ずかしいんじゃないか」などと心配することもありません。等身大のご自分のままで大丈夫です。私も気取らずに,皆さまの問題の解決に向けて,精一杯取り組みます。

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