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特集:気になる!隣の離婚事情

第5回「子育ての費用は○円!しかし一方で不払いトラブルも…養育費の現実!」

離婚は、妻と夫が互いの意思で決めるもの。とはいえ、自分たちのことだけを考えればよいというわけではありません。
子どもがいる場合には、親権をどちらが取るか、離婚後に子どもとどう関わるかなど、さまざまなことを考える必要があります。
なかでも、特に重要となるのが「養育費」の問題です。

「養育費」とは、子どもが経済的に自立するまでに必要となる衣食住、教育および医療に関する費用のことです。
離婚しても養育費の支払義務(扶養義務)はなくなりませんので、妻であるか夫であるかにかかわらず、子どもを引き取った側に対して、もう一方の側から支払われることとなります。

子どもを育てるために欠かすことのできない養育費ですが、約束どおり支払われないなど、実はトラブルとなっているケースも多いのが現状です。とはいえ、子どもの将来のために養育費はきちんと受け取りたいもの。

「気になる!隣の離婚事情」第5回では、そんな「養育費」について覗いてみましょう。

養育費は月額5万円以下が平均

一般的に、子ども一人を成人(※)まで育てるために必要な費用は、生活費や大学卒業までの教育費を含めておよそ3,000万円といわれています。
これは、幼稚園から大学まで公立に通った場合の金額で、私立の学校に通わせるなど、それ以上の費用が必要となることも十分あり得ます。それを離婚後の夫や妻が一人でまかなうのは大変なことです。そのため、養育費の支払いが必要となります。

※民法改正のため、2022年4月1日より、成人(成年)年齢は20歳から18歳に引き下げられました。ただし、子どもが「20歳」になるまで養育費を受け取る旨の取決めをしている場合は、子どもが20歳になるまで養育費を受け取ることができます。同様に、改正法施行前に、子どもが「成人」になるまで養育費を受け取る旨の取決めをしていた場合、当時の成人は20歳を想定していたでしょうから、改正後も引き続き、子どもが20歳になるまで養育費を受け取ることができると考えられます。

子どもの数別養育費(1世帯平均月額)の状況
2021年 1人 2人 3人 4人 5人 総数
母子世帯 40,468円 57,954円 87,300円 70,503円 54,191円 50,485円
父子世帯 22,857円 28,777円 37,161円 26,992円

(令和3年度 全国ひとり親世帯等調査より)

統計によると、母子または父子家庭に支払われた養育費は、母子家庭で月額平均約5万円、父子家庭では約26,000円です。

子どもの数によっても違いますが、母子家庭と父子家庭で平均24,000円以上の開きがあります。さらに、大半のケースでは父親(夫)から母親(妻)へ支払われる形となっています。

養育費は、親の収入や子どもの数、年齢によって一定の基準が設けられています。個々の事情によって異なりますが、基準に基づいて養育費の金額が決められるのが一般的です。

日本では、結婚・出産によってキャリアが途絶えがちな女性に比べ、男性のほうが所得が高く、仕事の選択肢も多いため、より多くの養育費を支払うことになっているものと考えられます。
また、離婚後の子どもの親権のおよそ9割が母親となっていることにより、父親から母親へ養育費が支払われる形が大半を占めているのです。

子どもの成長につれて支払われる養育費も高額に

 父が支払者となった場合の養育費・扶養料の月額(年齢別)

  • ※上記のグラフは『令和3年 司法統計年報(家事編) 第42表 子の監護事件のうち認容・調停成立の内容が養育費・扶養料支払の取決め有り(父が支払者)の件数』に基づき、当事務所が独自に作成したものです。
  • ※%=小数点第二位以下四捨五入。

次に、子どもの年齢別の養育費に関して細かく見ていきましょう。

司法統計によれば、父親が支払者となった場合の養育費の金額は、全年齢で月額2万円以上~4万円以下が約41%ともっとも多くなっています。次いで1万円以上~2万円以下が約28%であり、養育費が4万円以下の家庭が全体の約7割を占める結果となりました。また、子どもが小さいほど養育費を受け取っている家庭が多いこともわかります

年齢別に見てもその割合は大きくは変わりませんが、子どもが成長するにつれて養育費の金額も高くなる傾向が見られます。
養育費が月額6万円を超える割合を見てみると、子どもが0~5歳までの場合には5%程度であるのに対して、子どもが15歳以上の場合では15%を超えています。
これは、子どもの成長に伴い、進学や習いごとなどで必要となる教育費が増加することが原因だと考えられます。

養育費を受け取っているひとり親世帯の割合

では、実際にはどのくらいの家庭で養育費を受け取っているのでしょうか。

令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果によると、実際に養育費を受け取っている母子家庭は全体の28.1%と、実は3割にも満たないのです。父子家庭に至っては8.7%と、1割にすら届きません。

これは、離婚する際に養育費の取決めをしていないケースが多いことが理由の一つとして挙げられます。また、母子家庭の場合は「相手と関わりたくない」という心情的な理由から養育費の受取りを諦めてしまうケースもあるようです。
こうして見ると、離婚後に父親と母親が協力して子育てをしていくことの難しさが垣間見えます。

養育費の支払いに関するトラブル

養育費に関しては、「不払い」のトラブルが増えています。
近年の景気悪化が原因で、養育費を負担する元夫が給料を減らされたり、リストラにあうなどして、養育費が支払われなくなるケースが増加しているのです。

厚生労働省が設置した「養育費相談支援センター」に寄せられた相談件数は、2007年から2011年までの4年間でおよそ2倍に増えたといいます。

養育費の不払いを防ぐ方法

養育費は、子どもの成長にとって欠かせない大切なお金です。不景気とはいえ、一度養育費を支払う約束をしたのなら、きちんと支払ってもらいたいと誰もが思うはずです。

離婚協議書を作成する

離婚後の養育費の不払いを防ぐためには、まず、養育費の支払いに関する「離婚協議書」を作成するのがよいでしょう。
離婚協議書は、離婚の際に取り決めた条件が守られず裁判になった場合に、有力な証拠となります。

しかし、離婚協議書を作成したからといって、必ず養育費が支払われるとは限りません。離婚協議書には法的な強制力がなく、養育費が支払われなかった場合の対応方法は限られてしまいます。

公正証書を作成する

養育費の不払いを防ぐためにより有効なのが、離婚協議書の内容を「公正証書」(正式には「離婚給付契約公正証書」)として残すことです。

公正証書はそれ単体で法的な強制力を持ちます。そのため、必要な項目を盛り込んでおけば、もし養育費の支払いが滞った場合に支払者の財産(給与・預貯金・家財道具など)を強制的に差し押さえて回収することができるのです。

離婚の際は、子どもの将来のためにも、夫婦でよく協議して条件を決めましょう。そして、養育費の不払いが起こらないよう、離婚に詳しい弁護士に相談し、公正証書の作成を依頼することをおすすめします

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