離婚を考えたら準備する5つのこと。失敗しないためのポイントを解説!

- 公開日:2023年07月31日
- 更新日:2023年09月13日
スムーズに離婚を進め、安心して離婚後の生活をスタートさせるためには、準備がとても大切です。
ですが、「何から準備すればいいかわからない…」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこでこのコラムでは、配偶者に「離婚したい」と伝える前に準備しておくべき5つのことを解説します。離婚で失敗しないために、どのように行動すればよいか確認してみてください。
目次
この記事を読んでわかること
準備なしで「離婚したい」と伝えるリスク
離婚を決意したら、すぐに「配偶者に伝えなければ」と思うかもしれません。しかし、準備せず離婚を切り出してしまうと、以下のようなことが起こるおそれがあります。
- 話合いが長期化する
- 不利な条件で離婚することになる
- 離婚後の生活に困窮する
きちんと準備をしておけば、これらのリスクを回避できるだけでなく、話合いでまとまらず裁判手続をとることになっても冷静に進めることができます。
離婚後の生活を安心してスタートさせるためにも、「離婚したい」と伝える前に状況や気持ちを整理しておきましょう。
離婚の話合いをする前に準備しておく5つのこと
離婚の話合いをする前に、主に次の5つを準備しておく必要があります。
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
①離婚理由をまとめる
まずは、本当に離婚すべきか改めて考える意味でも、「離婚したい理由」を再度振り返ってまとめてみましょう。具体的には、以下のような内容をノートなどに書き出してみることをおすすめします。
- 離婚したいと思ったきっかけや出来事
- なぜ離婚したいと思ったのか
- いつから悩んでいるのか など
これらをまとめておけば、離婚を切り出すときや話合いのとき、自身が思っていることを相手に冷静に伝えるために役立つはずです。
離婚に必要な「法定離婚事由」
夫婦間の話合いで相手が離婚に応じない場合、調停などの裁判所の手続を利用して離婚することになります。
しかし、離婚裁判(訴訟)では、以下の「法定離婚事由」がなければ離婚できません。
- 浮気・不倫(不貞行為)
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
この「法定離婚事由」に当てはまるかどうかも、確認しておくとよいでしょう。
②離婚原因の証拠を集める
あなたの「離婚したい理由」が、配偶者の不貞行為やDV・モラハラ、性交渉の拒否などである場合は、配偶者に慰謝料請求できる可能性があります。そのため、離婚原因の証拠を集めて、慰謝料請求の準備をしておきましょう。
それぞれ証拠となり得るものは、以下のとおりです。
離婚原因 | 証拠の例 |
---|---|
不貞行為 |
|
DV |
|
モラハラ |
|
性交渉の拒否(※) |
|
- ※夫婦の一方が性交渉を求めたにもかかわらず、他方が合理的理由や説明もなく拒否し続けたような場合。セックスレスであるだけでは離婚原因にならない場合や、慰謝料請求が認められない場合があります。
上記のほかにも、慰謝料請求できるケースや証拠となるものがある場合がありますので、詳しくは弁護士に相談してみるとよいでしょう。
なお、慰謝料の相場や金額の決め方については以下のページをご覧ください。
③離婚の条件を明確にする
離婚の話合いでは、お金や子どものことについて取り決める必要があります。不利な条件で離婚することにならないよう、事前にあなたはどうしたいのかを決めておきましょう。
財産分与
夫婦の協力によって築いた財産は、離婚の際に原則として2分の1ずつ分割します。
そのため、配偶者の隠し財産がないか確認する意味でも、夫婦の共有財産をリストアップしておきましょう。
今後別居する可能性もあるため、配偶者名義の財産に関する資料(預貯金通帳や保険証券など)は、同居しているうちにコピーを取っておくと安心です。
なお、夫婦それぞれが独身時代に貯めた預貯金や、遺産分割で相続した金銭・不動産などは財産分与の対象外となるため注意が必要です。
年金分割
婚姻期間中に夫婦の一方または双方が納付した厚生年金の保険料は、「夫婦の協力によって納付されたもの」と考えられているため、配偶者が厚生年金保険を納付している場合、離婚後に納付実績を受け取ることができます。
年金は老後の大切な生活資金です。きちんと話し合うためにも、分割するかどうか事前に希望をまとめておきましょう。
親権
未成年の子どもがいる場合、親権者を決めないと離婚できません。そのため、どちらが親権者となるべきか、話合いの前に考えておきましょう。
親権者を決めるための法律上の基準や条件はありませんが、以下の点を考慮し、子どもの利益を第一に考えて決めることが求められます。
- 子どもに対する愛情やこれまでの監護実績
- 子どもを育てるための経済力や監護能力
- 子どもの年齢・性別・発育状況
- 子ども本人の意思 など
面会交流
面会交流の条件についても、事前にあなたの考えや希望をまとめておきましょう。主に、以下のような内容を取り決める必要があります。
- 面会交流の可否
- 方法
- 頻度
- 日時・場所
- 面会時の決まりごと など
離婚の原因によっては「離婚後は子どもを配偶者に会わせたくない」という場合もあるかもしれません。しかし、面会交流はあくまでも「子どものため」を考えてどうするべきか決める必要があります。
養育費
養育費は子どもの権利でもあるため、離婚後でも請求できます。しかし、離婚の際に取り決めておくのが一般的です。
主に、以下の内容について、事前にあなたの考えや希望をまとめておきましょう。
- 月々の支払金額
- 支払期間(子どもが何歳になるまでか)
- 支払方法(毎月の支払日、振込先など)
なお、養育費は、配偶者と合意できれば一括で支払ってもらうこともできます。ただし、利息分が差し引かれたり、余分な税金が発生したりするため、支払方法は状況に応じて慎重に検討する必要があります。
④離婚後の生活の目処を立てる
離婚後、生活に困ってしまうことのないよう、住む場所や仕事、お金のことについても事前に考え、準備しておくことが大切です。以下で詳しく見ていきましょう。
仕事と生活費を確保する
特に専業主婦の方であれば、離婚後の働き口を確保しておく必要があります。就職・転職には時間がかかる場合もあるため、早めに動くことが大切です。
また、離婚後の当面の生活費や引っ越し費用などを準備しておけば、より安心して新生活をスタートできるでしょう。
離婚後の住まいを決める
離婚後にあなたが現在暮らしている家を出ていく場合、住まいの確保が必要です。
仕事や収入などを考慮して、目途を立てておくとよいでしょう。実家が近いのであれば、一定期間は実家に暮らすという選択肢もあります。
なお、引っ越す場合には子どもの預け先や今後通う学校のことなども考えておくと、手続がよりスムーズです。
公的支援を調べる
離婚後にシングルマザーになる方は、母子手当や児童手当などを受け取れる可能性があります。住居や就職に関する支援などを受けられる場合もあるので、事前に調べておくと安心です。
ほかにも、子どもやひとり親家庭が受けられるさまざまな公的支援があるため、利用できるものがあるか確認しておきましょう。
⑤精神的に自立する
離婚をするまでには、お金のことや子どものことなど、あなた自身が決断・行動しなければならないシーンが多々発生します。そして離婚後も、自分の力で生活していかなければなりません。
そのため、あなたが精神的に自立しておく必要があるといえます。離婚にはさまざまな準備が必要ですが、何より大切なことかもしれません。
準備期間はどのくらい必要?離婚を伝える適切なタイミング
離婚の準備にかかる期間は、個別の状況により異なるため一概に「これくらい」とはいえません。
ですが、「少しでも早く離婚したい」という場合も、焦って離婚を切り出さないことが大切です。きちんと準備が整ってから離婚を切り出したほうが、スムーズかつあなたに有利な条件で離婚できる可能性が高まります。
ただし、DVや子供への虐待などがある場合など緊急性が高いケースでは、まずは別居や一時的な避難を検討しましょう。安全を確保したうえで、離婚や準備の方法を考える必要があります。
準備ができたら次は何をする?
準備が整ったら、いよいよ配偶者に離婚したいことを伝えます。できるだけ感情的になることは避け、冷静な話合いを心がけましょう。
話合いでは、「離婚する・しない」だけでなく、お金や子どもに関する条件を取り決めなければなりません。事前に整理した内容について、1つずつ話し合っていきましょう。
離婚が決まったあとにやることや、離婚後に必要な手続もあらかじめ確認しておくとより安心です。以下のコラムを参考に、離婚前後の手続を確認してみてください。
一人で準備できるか不安なときは弁護士に相談を
このように、離婚の準備はやることも多く、時間と根気が必要です。
そのため、「一人で準備できるかな?」、「意外と大変かも…」と不安やストレスを感じたら、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談すれば、離婚に向けて必要な準備や進め方について、細かく具体的なアドバイスをもらえるでしょう。
また、話合いで離婚の合意ができずに調停や審判などを申し立てる必要がある場合にも、弁護士に依頼すれば交渉や手続を任せることができます。
なお、早い段階で相談したほうが、よりスムーズにあなたとって有利な離婚を目指せるケースが多いです。そのため「離婚したい」と決意したらできるだけ早く弁護士へ相談することをおすすめします。
まとめ
準備をせずに離婚を切り出してしまうと、話合いが長引いたり、もらえるはずのお金がもらえず損をしたりするおそれがあります。
そのため、「離婚したい」と思ったら、まずは状況や気持ちを整理して離婚後の生活を見据えた準備をしましょう。
「自分だけで離婚に向けた準備をすることが難しい場合や、どうすればよいかわからない場合は、弁護士へ相談するのがおすすめです。早い段階から弁護士に相談することで、よりスムーズな離婚を目指せます。
アディーレには、離婚問題について経験豊富な弁護士が在籍しております。これまでの経験やノウハウを生かして、あなたのご状況に合わせた解決方法をご提案いたしますので、離婚について困ったことがあればお気軽にご相談ください。
監修者情報

- 資格
- 弁護士
- 所属
- 東京弁護士会
- 出身大学
- 慶應義塾大学法学部
どのようなことに関しても,最初の一歩を踏み出すには,すこし勇気が要ります。それが法律問題であれば,なおさらです。また,法律事務所や弁護士というと,何となく近寄りがたいと感じる方も少なくないと思います。私も,弁護士になる前はそうでした。しかし,法律事務所とかかわりをもつこと,弁護士に相談することに対して,身構える必要はまったくありません。緊張や遠慮もなさらないでくださいね。「こんなことを聞いたら恥ずかしいんじゃないか」などと心配することもありません。等身大のご自分のままで大丈夫です。私も気取らずに,皆さまの問題の解決に向けて,精一杯取り組みます。