離婚問題の知識と法律

公的支援など

離婚後にひとりで子どもを育てていくのは、とても大変なことです。そのため、そのような厳しい状況をサポートしてくれるさまざまな公的な支援がありますので、ぜひ積極的に活用しましょう。各種の要件を満たせば、次のようなさまざまな公的支援を受けることが可能です。

経済的な支援制度(手当等)
  • 児童扶養手当
  • 児童手当
  • 特別児童扶養手当、障害児童福祉手当
  • 生活保護
  • 就学援助
経済的な支援制度(貸付等)
  • 母子福祉資金貸付金
  • 生活福祉資金貸付制度
  • 女性福祉資金貸付制度
  • 応急小口資金
就職に関する支援
  • 母子家庭自立支援教育訓練給付金
  • 母子家庭高等技能訓練促進費等給付金
  • 寡婦等職業相談員
住居等に関する支援
  • 母子生活支援施設
  • 公営住宅への入居の優遇
  • 母子アパート(東京都)
  • サポートセンター等
  • ホームヘルパーの派遣
生活に対する補助・優遇制度
  • ひとり親家庭に対する医療費補助制度
  • 乳幼児医療費助成制度
  • 都営交通の無料パス(東京都)
  • JR通勤定期の割引
  • 税金の軽減
  • 水道・下水道料金の減免
  • 粗大ゴミの処理手数料の減免

経済的な支援制度(手当等)

児童扶養手当

児童扶養手当とは、父母が離婚するなどして父または母と生計を同一にしていない子どもにとって、養育されている家庭での生活の安定と自立の促進の一助となり、子どもの福祉の増進を図ることを目的として地方自治体から支給される手当のことをいいます。

2012年8月から、児童扶養手当の支給要件として、「配偶者からの暴力(DV)により裁判所から保護命令が出された場合」も新たに加わりました。支給される金額については、子どもの人数、受給資格者の所得によって異なります。

児童扶養手当を受給するためには、お住まいの市町村(特別区含む)への申請が必要となります。

児童手当

児童手当とは、0歳から中学校卒業まで(15歳に達した日以降最初の3月31日まで)の子どもを養育する親等に対して支給される手当のことをいいます。
2012年度以前は「子ども手当」という名称で、金額についても一律月額1万3000円でした。新しくなった児童手当は、所得制限が設けられるなど、支給要件も変わりました。支給金額については次のとおりとなっています。

(1)0歳から3歳未満の子どもについて
月額1万5000円
(2)3歳から小学校終了前の子どもについて
月額1万円(第1子・第2子)か1万5000円(第3子以降)
(3)中学生について
月額1万円

この手当には所得制限があり、所得制限の限度額以上の世帯については、子どもの年齢にかかわらず一律月額5000円となりました。ただし、所得制限の対象になる世帯への支給は暫定的なものであり、いずれは廃止される見込みとなっています。

なお、子どもを養育している者が複数いる場合、子どもの生計を維持する程度が高い者に支給されますが、別居中の両親で生計を同一にしていない場合には、生計を維持する程度にかかわらず、子どもと同居している親に支給されることになります。なお、児童手当を受給するためには、お住まいの市区町村への申請手続が必要です。

特別児童扶養手当、障害児童福祉手当

特別児童扶養手当は、精神または身体に障害を有する20歳未満の児童の福祉増進を図る目的で、その児童を養育している父母等に対して支給される国の手当です。支給金額については、次のとおりとなっています。

(1)1級の場合
月額5万400円
(2)2級の場合
月額3万3570円

ただし、受給者もしくはその配偶者または扶養義務者の前年の所得が、一定の金額以上であるときは支給されません。

障害児童福祉手当は、特別障害児の福祉向上を図ることを目的に、障害のため必要となる精神的・物質的な特別の負担の軽減の一助として、支給される国の手当です。精神または身体に重度の障害を有するため、日常生活において常に介護が必要な在宅の20歳未満の児童に支給されます。

支給金額は、月額1万4280円です。ただし、特別児童扶養手当同様、受給者もしくはその配偶者または扶養義務者の前年の所得が一定の額以上であるときは、手当は支給されません。

これらの手当を受給するためには、お住まいの市区町村の窓口への申請が必要です。母子家庭などを対象とした児童扶養手当と名称が似ていますが、別の制度です。そのため、それぞれの要件を満たせば両方受給することも可能です。

生活保護

厚生労働大臣が定める基準である最低生活費と収入を比較し、収入が最低生活費に満たない場合、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。世帯の収入の合計が最低生活費以上ある場合は、保護費を支給する必要がないため、生活保護は支給されません。生活保護を受給したい場合は、お住まいの地域を所管する福祉事務所の生活保護担当への相談が必要です。

就学援助

就学援助とは、経済的理由により就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して、市区町村が必要な援助を与えるという制度であり、主に義務教育課程の小中学生に対して、学用品費、通学用品費、修学旅行費等の一部が援助されます。実際に援助を受けるためには、通学先の学校や教育委員会に問い合わせてみてください。

経済的な支援制度(貸付等)

母子福祉資金貸付金

母子福祉資金貸付金は、20歳未満の子どもを扶養している母子家庭につき、就労や児童の就学などで資金が必要となった場合に、都道府県・指定都市または中核市から貸付を受けられる制度です。母子福祉資金貸付金は、事業開始、就学、就職、医療介護など計13種類があります。

利子と返済期間は、貸付金の種類によって異なりますが、無利子~3%の低金利であり、かつ3年~20年という長期の返済となっています。この貸付を希望される場合は、お住まいの自治体窓口への申請が必要です。

生活福祉資金貸付制度

母子家庭に限らず、低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯で、条件にあてはまれば、借りることのできる無利子・低金利の福祉貸付です。お住まい地域の市区町村社会福祉協議会に問い合わせていただくことになります。

女性福祉資金貸付制度

親、子、兄弟姉妹を扶養している女性が対象に、条件を満たせば事業、医療、就学支援に必要な資金の貸付を受けることができます。

応急小口資金

低所得世帯が病気、給与の盗難・紛失、火災等の被災などで緊急に資金が必要となった場合、その資金を無利子で貸してくれる制度です。

就職に関する支援

母子家庭自立支援教育訓練給付金

母子家庭自立支援教育訓練給付金は、母子家庭の母の経済的な自立を支援するため、その能力開発の取組みを支援するものです。児童扶養手当の支給を受けているか、または同様の所得水準にあり、雇用保険の教育訓練給付の受給資格を有していない人が対象です。対象となる教育訓練を受講し、修了した場合、経費の20%(4001円以上で10万円が上限)が支給されます。母子家庭自立支援教育訓練給付金を受給したい場合は、お住まいの自治体窓口への申請が必要となります。

母子家庭高等技能訓練促進費等給付金

母子家庭高等技能訓練促進費等給付金は、母子家庭の母が看護師や介護福祉士等の資格取得のため、2年以上養成機関で修業する場合に、修業期間中の生活費の負担軽減を目的とする制度です。

児童扶養手当の支給を受けているか、または同様の所得水準にあること、養成機関において2年以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれること、仕事または育児と修業の両立が困難であることが受給要件となります。高等技能訓練促進費(月額7万500円または10万円)が支給されるとともに、入学金の負担軽減のため、入学支援修了一時金(2万5000円または5万円)が支給されます。母子家庭高等技能訓練促進費を受給したい場合は、お住まいの自治体窓口への申請が必要です。

寡婦等職業相談員(東京都ほか、ハローワーク)

ハローワークでは、長い間、職業から離れていたり経験のない方のために、専門の職業相談員がおり、就労のための相談・援助を行っています。

住居などに関する支援

母子生活支援施設

母子生活支援施設とは、18歳未満の子どもを養育している母子家庭、または何らかの事情で離婚の届け出ができないなど、母子家庭に準じる家庭の女性が子どもと一緒に利用できる施設です。ドメスティック・バイオレンス(DV)被害者保護においても、一時保護施設として母子生活支援施設の利用が多くなっており、DV被害者の保護から自立支援を進めるための重要な施設にもなっています。

公営住宅への入居の優遇

住宅に困っている母子・父子世帯に対して、公営住宅の入居募集の際に優遇される制度があります。入居の際の当選率が一般世帯より優遇されます。

母子アパート(東京都)

住宅に困っている母子家庭を対象に「母子アパート」という制度があります。(ただし、所得制限があります。)

サポートセンター等(各種協会などによる)

保育施設の開始前や終了後に子どもを預かったり送り迎えをしてくれる、子どもが軽度の病気のときなど一時的に子どもを預かってくれる、学校の放課後や学童保育の終了後に子どもを預かってくれる等のサポートをしてくれます。施設も充実していますので、ホームページ等で探してみましょう。

ホームヘルパーの派遣

中学生以下の児童のいるひとり親家庭で、親または児童の一時的な怪我や病気等の事情により、家事や日常生活における援助が必要な場合に、ホームヘルパーを派遣する制度です。所得に応じて自己負担分が生じます。

生活に対する補助・優遇制度

ひとり親家庭に対する医療費補助制度

ひとり親家庭の父・母・養育者および子どもが、病院などで診療を受けた場合に、医療費の自己負担分を補助してくれる制度です。なお、申請者および扶養義務者の所得制限があります。医療費補助制度を利用したい場合は、お住まいの自治体窓口への申請が必要です。

乳幼児医療費助成制度

離婚、ひとり親家庭とは関係なく、自治体が保険診療にかかる乳幼児の医療費の自己負担分を助成する制度です。所得制限があります。

都営交通の無料パス(東京都)

東京都が実施している優遇制度です。都営交通(都電、都バス、都営地下鉄)の無料乗車券が交付されます。

JR通勤定期の割引

児童扶養手当や生活保護を受けている世帯の人が、JRを利用して通勤している場合は、通勤定期乗車券を3割引で購入できる等の割引制度があります。

税金の軽減

母子世帯であることを理由に、所得税や住民税の軽減措置が受けられる場合があります。控除には所得制限がありますので確認が必要です。

水道・下水道料金の減免

児童扶養手当、生活保護を受けている世帯については、水道料金、下水道料金が申請により免除・減額される減免制度があります。

粗大ゴミの処理手数料の減免

児童扶養手当、生活保護を受けている世帯については、粗大ごみ処理手数料の減免を受けられる制度が用意されています。

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